ポーランド映画。監督はヨアンナ・コス=クラウゼとクシシュ・クラウゼ。

 ジプシーの生活を余すところなく体感させてくれるモノクロームの美しい映画だった。この映画では、時代をいくつかに切り分け、断片的に、パプーシャと愛称で呼ばれる女性の人生を見つめていく。

 パプーシャは書き文字を持たないジプシーのタブーを破り、読み書きを覚え、ジプシー女性として初の詩人となっていく。という話だが、もちろんこれだけではない。ナチスの時代も織り込まれ、ジプシーたちにとって苦難の時代だ。だが、逆に映像は徹底的に美しく、彼らの精神世界を表しているようでもあった。映像と音楽に興奮した作品。2015年4月公開。