アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥというと、「アモーレス・ペロス」「バベル」と、どちらかというと痛い映画の監督であった。が、いきなりゴダールみたいな文字が出て、ヒッチコックのようにカメラはするすると鉄柵を抜けていく。カメラの浮遊感が、あっという間にこの世界観に観客を連れて行ってくれる。

 俳優も特撮も超一流。コメディはこう撮れというお手本のような作品。面白かった。観終わった後、少しだけ自分のことを考えてしまった。2015年4月公開。