「先生は背の低い人の気持ちがわかっていない!」
そう言いながら彼女が号泣したのは、何年前でしょうか?
彼女とは、熊本県民テレビアナウンサーの井上千沙さん。
学生時代、多くの放送局で最終面接に進むも内定を得られず、悩む井上さんに、「高いヒールを履いているのがダメなんだ。ヒールは高くても5センチまでにしなさい」と私が言ったときのことでした。
「日本一小さいアナウンサーになる!」と学生時代から宣言していた井上さんですが、面接のときは10センチ以上もあるハイヒールを履いていきました。背の低さがウリなんだから、無理をして背を高く見せる必要はないとアドバイスしました。しかし、井上さん本人は小さいことをセールスポイントにすると口では言いながらも、なかなかハイヒールを脱ぐことはできませんでした。
日本一小さいアナウンサーとして、知名度も全国区となった井上さんが、先日、教室に来てくれました。
京橋駅で待ち合わせ。ひと際目立つ小さな女性がいて、すぐに見つけることができました。
身長144センチ。声光塾に通っていたときは、146センチだと私に言っていたのですが、縮んだのか、もともとそうだったのか、今は2センチ低い144センチです。
「あれ?ヒールは履かないの?」
「しんどくて。今はこっちの方がラクなんです。スニーカーもいっぱいありますよ」
信じられない!あの井上さんが。足のサイズは22センチか21.5センチ。なかなか合うサイズのハイヒールがないため、同じものを3足も持っていて、スニーカーを履くことはいっさいなかった井上さんがこんなに変わるなんて。
無理をせず、ありのままの自分を好きになれたことがアナウンサーになってからの成長です。
人から良く見られたいというのは、誰もが思う願望です。
でも、よく見られようとすることを窮屈に感じて、笑顔が減るのなら、やめたほうがいいです。
ハイヒールを履いていたときは、足の裏がかたくなってガサガサだったけど、今はツルツルです、と話した井上さん。
ハイヒールを脱いで、いいことづくめのようです。
テレビを見ていると、たまにサイズの合わないカポカポのヒールで歩きにくそうにしているアナウンサーを見かけます。
今すぐに脱いだ方がいい。あなたらしさが消えるから。
ハイヒールを脱いで、ありのままの姿を好きになれた井上さんの成長は、他にもありました。
中継が大好きになったこと。そして、サッカーも大好きに。
中継では、失敗することもあるそうですが、社内で表彰されることもあり、それが大きなモチベーションにつながっているようです。
高校サッカーの熊本予選決勝でリポーターを担当。ルールを一から勉強し、中継のときは、積極的にリポートを入れたとのこと。言いたいことがたくさんあって、大事なゴール前の局面でも割り込んでしまい、そのことは反省しているそうです。残念ながら負けてしまった高校側のリポーターをつとめ、選手や保護者よりも先に号泣するほど、サッカーへの思いが強くなりました。
生まれ育った滋賀よりも、熊本が好き!気候が温暖で、食べ物がおいしいし、もともと好きだったお酒が、焼酎を飲むようになってますます好きになったそうです。心配なのは、オードリーさんの番組出演時にも話していた電話占いにはまっていること。適度にアドバイスをもらってください。今はちょっと頼りすぎですよ。今年はどれぐらい全国ネットの出演の機会があるのかわかりませんが、出るときは必ずチェックします。まずは、熊本県民にもっと愛されるアナウンサーに。ハイヒールを履かず、スニーカーで熊本県内を中継で走りまわります!