現在の家裁実務においては、祖父母は面会交流を求めて面会交流調停や審判を申し立てることはできないとされています。



比較的最近、祖父母が面会交流審判を申し立てた事案がありましたが、最高裁は「父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として上記第三者と子との面会交流について定める審判を申し立てることはできないと解する」との判断を示しています(最判令和3年3月29日判タ1500号84頁)。


もっとも、共同親権のことがホットな話題となっている法制審議会家族法制部会の直近(第36回会議(令和6年1月9日開催))の部会資料を見ると、次のような記載があります。


3 親以外の第三者と子との交流に関する規律


親以外の第三者と子との交流に関して、次のような規律を設けるものとする(注1)。


⑴ 家庭裁判所は、子の監護について必要な事項を定め又はその定めを変更する場合において、父母以外の親族と子との交流についての定めをすることが子の利益のため特に必要があると認めるときは、その交流を実施する旨を定めることができる
⑵ 上記⑴の定めについての家庭裁判所に対する審判の請求は、次に掲げる者(イに掲げる者にあっては、その者と子との交流についての定めをするため他に適当な方法がないときに限る。)がすることができる(注2)。
ア 父母
イ 父母以外の子の親族(子の直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限る。)

(注1)父母が婚姻関係にない場面のほか、婚姻中の父母が別居する場面(本文第4の1参照)についても、規律の整備をするものとする。
(注2)子の監護に関する処分の審判(父母以外の親族と子との交流に関する処分の審判に限る。)及びその申立てを却下する審判について、即時抗告(家事事件手続法第156条参照)等についての規律を整備するものとする。 




今後、上記のような内容の法改正がなされれば、①別居親が申し立てた面会交流審判の中で、別居親の親(子にとっては祖父母)と子との交流の定めをすることが子の利益のため特に必要があると認められたときには、祖父母と子との具体的な面会交流の実施方法等について審判が出される可能性がありますし、②そもそも、子の祖父母が自ら面会交流審判の申立てをすることができるようになるということになります。


まだこの内容で法改正されることが決まったわけではありませんが、もし決まれば実務になかなかの変化が起きそうです。


今後も注視していきたいと思います。


☆祖父母との面会交流の意義や、祖父母の存在が面会交流の助けになる場合などについては、拙著「弁護士・臨床心理士の両視点にみる面会交流-当事者心理と実務のポイント-」に記載がありますので、もしよろしければご覧いただけますと幸いです。