茂木誠のウクライナ動画,ポグロムと,日露戦争・第一次大戦・ロシア革命をファイナンスしたユダヤ一族 | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

茂木誠のウクライナ動画,ポグロムと,日露戦争・第一次大戦・ロシア革命をファイナンスしたユダヤ一族

茂木誠がウクライナの歴史について,新たに動画をアップした(松田政策研究所)。

今回の動画では,キエフとモスクワの関係,コサックの起源と歴史上の役割や自由だが纏まらない気質・体質,共産革命後にソビエト・ロシアに飲み込まれまいと英仏を招き入れたウクライナの動き,その報復としてのホロドモール(スターリンのウクライナ人工飢餓政策),懐柔策としてのフルシチョフ(ウクライナ出身)の選出とクリミア編入,ユダヤ人問題(ポーランドの受け容れとウクライナ支配,反発の矢面,ポグロム等)にも触れて,ヌーランドやブリンケンがポグロムを避けてウクライナから米国に渡ったユダヤ人の子孫であることにも触れている。

 

ポグロムと言えば,日本にも関係が深い。日露戦争で日本にファイナンスしたジェイコブ・シフ(ユダヤ人銀行家の巨頭)は,純粋に金銭目的で日本に投資したのではなく,ロシア・ロマノフ王朝のポグロムからユダヤ人を救う意図があった。このため,シフはユダヤの陰謀を地で行く人のようにも見られた。

 

話は日露戦争で終わらない。ジェイコブシフはクーンロブ商会のソロモン・ロブの娘テレサ・ロブと結婚したが,もう一人の娘ニーナ・ロブは,FRB(1913-)初代議長となったポール・ウォーバーグ(ドイツ表記ワールブルグ)と結婚している。ポールの弟フェリックス・ウォーバーグもシフの娘フリーダと結婚している。そして,ポールの弟マックス・ワールブルグは第一次大戦(1914-1918)中のヴィルヘルム2世の顧問であり,ロシア革命(1917.2月革命)のスポンサーである。

 

 

 

 

米国が世界一の大国になったのは,第一次世界大戦の長期化による。上記一族が,米国を世界一(英国以上)にしたと言える。シフと懇意だった高橋是清が,1936年の2・26事件(皇道派・陸軍青年将校によるクーデター未遂)で凶弾に倒れたことは,日本の針路にとって,大きなマイナスだった。世界権力の中枢と最も親しかった人物を陸軍将校は暗殺した。第二次大戦は,暴走する陸軍を壊滅させる戦争でもあったという仮説も立つだろう。八百長と思えるほどの戦略的大失敗をした海軍(山本五十六の真珠湾・ミッドウェイやレイテ)からは死刑のA級戦犯が出ていない。

 

ポグロムは,現在のウクライナ紛争にも影響しているが(ヌーランド・ブリンケンはポグロムでウクライナから米国に移住したユダヤ人の子孫),日露戦争での日本の勝利や,第一次世界大戦の長期化,ロシア革命にも関係しており,上図一族が大きな影響力を発揮している。

 

何でもロスチャイルドと結びつけて考える主張がされることがある。シフやワーバーグを含めた広い意味でのユダヤ人金融家という意味では,正しい面があるかもしれない。しかし,ロスチャイルドの全盛は19世紀であって,20世紀は米国FRB設立の中心となった上図の一族の方が影響力があるようにも見える(もっとも,シフはロスチャイルドとフランクフルトで同じ建物に住んでおり,関係は深い)。20世紀は欧州の巨大植民地帝国より米国の金融資本が上位に立った戦争と革命の時代だったと言える。なお,ロックフェラーは石油の掘削ではなく流通から支配権を確立していったが,ロックフェラーのために鉄道運賃を割り引きするなど援助して,その独占支配確立を助けたのがシフとその鉄道会社や銀行である。ロックフェラーと上図一族の関係も深い。ワーバーグはナチスにファイナンスしたことでも有名だ。もっとも,戦間期は,ドイツの賠償金→英仏の債務返済→米国の債権回収という構造があった。問題とされるのはイスラエル建国とナチのユダヤ人迫害・追放の協力関係だろう。ユダヤ人社会も一枚岩ではない。

 

以上の図を見ると,この一族の戦争・革命に果たした役割の大きさが見えてくる。

・日露戦争で日本にファイナンス(ロマノフ王朝に敵対,ポグロム対策) → 東洋の小国が欧州の大国に(薄氷の)勝利

・第一次世界大戦でドイツにファイナンス → 戦争の長期化,経済の中心が欧州から米国へ

・ロシア革命のファイナンス(ロマノフ王朝を打倒,ポグロム対策) → ロマノフ朝転覆,さらに共産革命へ

 

そして,その背景に,ロシア・ウクライナ・ポーランドにおけるユダヤ人差別,「ポグロム」の問題がある

 

私の解釈は,

・ポグロムに怒った上図一族は,日露戦争で日本にファイナンスし,第一次世界大戦でドイツにファイナンスしたが,

・ロマノフ王朝が倒れると,ドイツ支援の動機がなくなり,革命翌月,アメリカは英仏側に参戦(★),

・一次大戦があそこまで長引いたのは,ロマノフ王朝を倒すために,資金が潤沢にドイツに流れたから

というものだ。

★1917の2月革命は,グレゴリオ暦では3月8~12日,アメリカ参戦は4月6日。ルシタニア号事件は2年前の1915.5.7

 

なお,シフやマックス・ワールブルグがロマノフ王朝の転覆に大きな役割を果たしたことは明らかであるが,ポール(初代FRB議長,FRB設立は第一次世界大戦直前の1913年)の役割の資料は見たことがない。もっとも,上図の関係から見て,米国とワーバーグ一族がロマノフ朝転覆に大きな役割を果たしたことは,間違いないだろう。

 

ロマノフ朝の黄金の行方など,興味深い問題もあるが,ここでは詳しく触れない。

 

日露戦争と現在のウクライナ戦争には共通点が見られる。だが,ロシアの本拠に近く,陸続きのウクライナは,極東の島国日本と比べると,勝利ははるかに難しいように見える。

 

米政府内のユダヤ人(ヌーランド・ブリンケン),ウクライナ内のユダヤ人(ゼレンスキー,コロモイスキー)や金融ユダヤ人(ソロス)など,東欧出身のユダヤ人たちが,双方にいて絡んでいることが,何を意味するのか,どう理解すればよいのか,もう少し考えてみたい。よく言われているように,ユダヤ系オリガルヒを追放したプーチンへの攻撃・復讐以上の意味があるのかどうかも含めて。

 

米政府内のユダヤ人が,非ユダヤ人の過酷な運命を強いることのないよう,願いたい。既に多数のウクライナ人が,2014年以降,不当に死んでいる。第二次大戦でもモーゲンソー(非人道的で過酷なモーゲンソープラン寛容なマーシャルプランに修正)やホワイト(モーゲンソーをコントロール。ハルノート起案)はユダヤ人だった。モーゲンソープランの過酷さは,徐々に表に出てきているが,二次大戦後のドイツの飢餓や死者数は,想像を絶する(少なくとも900万人が死んだとされる)


 

 

【アマゾン著作紹介より】

More than 9 million Germans died as a result of deliberate Allied starvation and expulsion policies after World War II

第二次大戦後,900万人以上のドイツ人が連合国の人工飢餓・追放政策の結果死亡した

—one quarter of the country was annexed, and about 15 million people expelled in the largest act of ethnic cleansing the world has ever known. 

国土の4分の1が他国に併合され,約1500万人が追放された。世界がこれまで見た中で最大の民族浄化だった。

 

 

 

【アマゾン書籍内容の目次より】

はじめに書き換えを迫られる日米近現代史
第1章 モーゲンソープランの非道
第2章 ソビエトに最も貢献したスパイ
第3章 アルジャー・ヒス ヤルタ会談の黒幕にして国連を作った男
第4章 露見したスパイ網
第5章 ルーズベルト・トルーマン体制の破綻
第6章 ワシントン議会が暴いたソビエトスパイ
終章 「戦勝国」アメリカの敗北
エピローグ チャーチルとトルーマンの「敗北宣言」