養育費・婚姻費用の計算ラッシュと大幅増額事例 | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

養育費・婚姻費用の計算ラッシュと大幅増額事例

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養育費・婚姻費用の新算定表=令和元年版

令和元年12月23日,養育費・婚姻費用の新算定表が公表されました。

 

 ☞ (事務所サイト)養育費・婚姻費用の新算定表(令和元年版)と,平成30年度司法研究の報告

 ☞ (ブログ記事①)養育費・婚姻費用の新算定表:高額所得者では月4~6万円の増額例も

 ☞ (ブログ記事②)微修正の留まった,裁判所の養育費・婚姻費用の新算定表(令和元年版)

 

上記ブログ記事②の最後にも書きましたが,昨年12月の新算定表,年末又は年始の源泉徴収票発行により,現在,離婚や養育費・婚姻費用を扱う弁護士や裁判所は,繁忙を極めていると思われます。

 

私自身も,1月末や2月初めに,資料や主張書面の提出期限を迎える事件が重なり,2月前半までは,この件でかなり時間を取られます。120年ぶりの民法大改正が4月1日に施行されることもあり(改正民事執行法も施行されます),当分,業界も私自身も,繁忙が続くと思われます。

☞ (ブログ関連記事③)改正ラッシュと弁護士の繁忙

 

なお,後述のとおり,新算定表による基準変更は,増額変更を認めるべき「事情変更」には該当しない,というのが,裁判所の立場です。算定表変更のみを理由とする増額請求は,審理の対象外とされる可能性が高く,増額請求は,他事由(基準変更以外の変更事由)発生を待って行うのが良いと思われます。

 

 

14万円→24万円の増額審判(新基準+海外赴任による収入増)(事務所初の令和元年版の適用)

先月下旬に審理期限を迎えた「婚姻費用増額」の審判が2月初旬に出ました。当事務所では改定後初の事例です。月14万円→24万円の大幅増額となりました。+10万円のうち,新算定表における基準改定による増額部分は2.5万円~3万円程度と思われます。

 

 

会社員の海外赴任の場合,収入は1.5倍とか2倍など,激増することが多いため,海外赴任による収入増は,婚姻費用等を増額を請求できる事情変更に該当します

 

 

なお,裁判所は,算定表の基準変更は,養育費・婚姻費用の額を変更すべき事情変更には該当しない,という立場を取っています。このため,算定表の基準変更のみを理由とする増額請求は,事情変更に該当しないとして,認められない(検討対象にされない)可能性が高いと思われます。

 

【追記】先方から即時抗告が行われました。高裁では,権利者は自宅に居住して住居費を払っていないとして,2万円減額され,月22万円で確定しました。

 

相手方が海外赴任の場合,審判申立を行う

相手方が海外赴任の場合,「調停」の裁判管轄は相手方の住所地となるため,申立人の住所地にも裁判管轄が認められる「審判」申立てを行います

 

新算定表による基準改定の影響もあり,海外赴任による収入増も多く,義務者が海外赴任となった場合の増額審判申立ては,大幅増額となる可能性があります。