中国の三戦:心理戦・世論戦・法律戦(中国のピース・タイム・ウォー) | 大阪の弁護士 重次直樹のブログ

中国の三戦:心理戦・世論戦・法律戦(中国のピース・タイム・ウォー)

現在,変化の加速が常態化した現代でも,特に大転換期にあると感じます。①IT・AI等のテクノロジー,②金融経済情勢,③国際情勢,いずれも大転換期です。これに関連する読書をしたところ,同時に読んだ2冊で,日米の論客が,中国の三戦(心理戦,世論戦,法律戦)を取り上げていました。

 

1冊は,ピーター・ナバロ(Peter Navarro)のCrouching Tiger:What China's Millitarism Means for the World(邦題:「米中もし戦わば」)。ナバロはトランプ選対幹部で,現在,米国の国家通商会議代表,通商製造政策局長です。

 

「第18章 国際世論の操作」で心理戦,メディア戦,法律戦という「非殺傷兵器」の重要性を指摘・・・駆逐艦,戦闘機,弾道ミサイルなど「殺傷兵器」より,中国の領土的野望の実現に効果的かもしれないとします。また,中国中央軍事委員会と中国共産党が,三戦の戦略を承認したと述べます。

 

 

2冊目は,河添恵子トランプが中国の夢を終わらせる-プーチンとの最強タッグが創生する新世界秩序」

 

「第4章 客家の女傑たちの親米反日のDNA」の中で,3戦(世論戦・心理戦・法律戦)について,宋姉妹の活躍を挙げて,武器を持たないオンナも重要な役割を担っている,歴史戦も3戦なのです,と,その重要性を強調します。特に,日本に対して,中国が効果的に3戦を仕掛けている様子を描きます。

 

私自身も転換期にあり,不動産売却・荷作業(→不動産のトリプル処分・ダブル引越)・埃アレルギー・回復後の滞留事務処理などで,結構疲れが溜まっていました。身体を休めて疲れを取るため,寝室で横になり,iPad用スタンド2台とiPad(12.9インチ)2台で,2冊交替で読んでいたところ(この休み方・読み方もテクノロジーによる変化です),両方とも,中国の3戦を取り上げており,ちょっと驚きましたので,紹介しました。

 

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※上記のiPadスタンドは,横になったままの読書に適しています。iPad12.9インチを支えられます。大きい画面で,さらにKindleでフォントをゴシックにして文字を拡大すれば,目の負担を抑え,ゆったり読書が出来ます。

 

中韓が歴史問題で執拗に日本を攻撃するのは,英語で言うピース・タイム・ウォー,中国でいう3戦(世論戦,心理戦,法律戦)という,非殺傷兵器による戦いという理解が,日米で広がっています。

 

実は,かつて米国は,中韓の対日世論戦・心理戦を後押ししていたと思われるのですが,昨今は,中国の日本に対する3戦を強く牽制しており,大変化です。

 

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③国際情勢については,私は以前から,米中経済同盟による日本封じ込め(1985年頃~),という見方をしていましたが,近時,米国は,急激に,中国封じ込めを進めています(2018年10月ペンス演説,ZTE・ファーウェイ排除,関税など)これは,保守派の論客で,米国通の藤井厳喜氏,中国通の河添恵子氏らの見方と共通します

 

私は米中政治の専門家ではありませんが,銀行員時代に8年ほど外国為替を担当しており,為替相場の理解には国際情勢の勉強が必要で,逆に市場動向から国際政治が見える場合があります。今回,結果的に保守派の論客の一部と共通する見方になりました。

 

プラザ合意後の急激な円高,米中国交回復後の急激な人民元安,という米国主導の為替操作,米国資本の中国投資と日本の技術移転(盗用)(例:ナイキがアシックス類似のシューズの中国生産で大成長)について,「米中経済同盟」という見方をしていました。

 

1980年 1人民元=151円 → 1995年 1人民元=11円

15年で約14倍★ 

 

世界経済のネタ帳より)

 

人口10倍の隣国の為替相場を,(6年で3分の1)15年で約14分の1まで切り下げられそちらに資本投下・技術移転されれば,価格競争で勝ちようがなく,経済停滞は免れません。日本のデフレ(脱インフレ)の第2の原因は,為替操作(円高・超人民元安)と言えます。

→ 米中経済同盟と為替操作

→ デフレの原因(①金融自由化,②円高・超人民元安)

 

ところが,近時,米国は急激に,対中封じ込めに転じています。これは,トランプ政権に限らず,米国の国家意思です。

→ 父ブッシュの死亡,日本封じ込め政策の終焉

→ マイケル・ピルズリー 「China 2049」

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中国封じ込めという,国際情勢の大転換の中で,米国は中国の対日世論戦・心理戦について,従来の後押しから牽制へと急転換しました。

 

これは,ここ数年の間に,日本のGDPが,2位から3位に転落し(2010年),2013年以降は停滞から減少となって中国の半分以下になり(2014年),経済停滞で脅威でなくなった(中国は経済成長で脅威になった)という,日本の経済的失敗の結果とも言えます

 

1990年GDP  米国6兆ドル,中国0.4兆ドル,日本3.1兆ドル

2017年GDP  米国19.5兆ドル,中国12兆ドル,日本4.9兆ドル

(1990→2017倍率 米国3.3倍,中国30.1倍,日本1.6倍

★1995年,日本のドル建てGDPは米国の71%

★2017年,中国のドル建てGDPは米国の62%(2018.1-10は66%)

 

ドル建てで見れば,2013年以降の日本経済は,あれほどの金融緩和・財政投下にもかかわらず,大停滞(or縮小)で,成長から取り残された状態です。

 

 

1985年以降,特に冷戦終結後,米国の対日封じ込めが極めて厳しかったように,2018年以降,米国の対中封じ込めは,激烈になると思われます。

 

日本はこれに甘えず,韓国の(いわゆる)”徴用工”判決など,他国の仕掛ける3戦(世論戦,心理戦,法律戦)への対応力を高め,日本自身の3戦(世論戦・心理戦・法律戦)の能力を高める必要があると感じます

 

            平成30年防衛白書より,「KEYWORD 三戦とは」

                ①世論戦,②心理戦,③法律戦