「高病原性鳥インフルエンザ」(以下鳥インフル)に関しては国民の関心がすっかり薄れた感があるが、今回のニュースはマスコミはもっと大きく報じるべきニュースに思える。

 

 

鳥インフルが豚などの哺乳類からヒトに感染したことを疑う事例は過去には多数、報告がある。

 

 

科学的エビデンスが揃っていなくとも、現実に(主に)東南アジア諸国で起き続けている現象から推測するに、「鳥インフルのウィルス」(ヒト型インフルや新型インフルではない)が豚からヒトに感染することは、ほぼ間違いない。

 

 

しかし、今までは推測の域に過ぎず、断定するところまではいかなかった。何しろ感染ルートは他にもいくつかが考えられ、その可能性を否定できなかったためである。

 

 

↓実際、厚労省作成の図には鳥インフル(黄色にやつ)に関しては、豚から人に感染することは、これまでは科学的エビデンスがないため、矢印が描かれていない。

 

(厚労省作成)

 

そこで私が勝手に矢印を書き足してみた。

 

黄色は「鳥インフルエンザウィルス」

 

 

 

当前のことながら、疑われる感染経路が二つ以上ある場合は、それを絞り切ることができない(ただし、両方から感染している可能性もゼロではない)

 

 

次に感染経路を絞り切れなかった理由を示す。

 

 

①豚などからの感染を疑われた感染者は豚だけでなく、元々の患畜(主に鶏やアヒル)とも、一定の接触をしていること。

 

 

②もし、そうでなくとも、下の写真の通り、日々の生活環境が鶏などの鳥インフルウィルスに暴露されることを避けられない状態となっている場合も多い。

 

 

(イメージ:市場に生きた鶏が売られている、生きた鶏を積んだ自転車やバイクが道路を走っている、当然、鶏はバタバタと暴れている)。

 

(イメージ)

 

やめて下さい!

 

もしも、この中に鳥インフルの鶏が一羽でも混じっていると、走る「ウィルス」のスプリンクラーと化す。

 

 

(画像借用元)

 

 

このことから、豚などからヒトに感染したことが甚だ疑われる事例であっても上記のとおり、豚を経由して感染したのでなく、家禽(鶏、アヒルなど)から直接感染した可能性を否定することができなかった。

 

 

つまりは、豚が感染源と断定するには至っていなかったのである

 

 

マスコミの方々は(字数や時間の制限はあろうが)今説明した理由(感染ルート複数の話)を省略し、さらに(ヒト型インフル、トリ型インフル、新型インフル)を明確に説明しないで一緒コタにして報道してしまうことが多い。

 

再び登場

 

ウィスルの色の違いに注目

 

このことから、国民は「鳥インフルが豚からヒトに来るのは昔から分かりきっていること」と誤解してしまうのである。

 

 

そらまあ、如何なるヒト・インフルエンザと言えども、先祖は必ずも鳥インフルエンザに行き着く。

 

 

そのような状況の中で、今回のアメリカでの事例は乳牛からヒトに感染したとしか考えようがないらしい。

 

 

乳牛からヒトへ来たということは、この鳥インフル株は短期間の間に突破しにくい「種の壁」を2回も突破してきたことを意味する。

 

 

どうも、「こいつ」は、本来は牛や人間の細胞膜にはくっつくことができないスパイクであるにもかかわらず、うまく、くっつけてしまうのが得意のようだ。

 

 

鳥→(種の壁)→乳牛→(種の壁)→ヒト

 

 

 

 

話はいったんそれるが、エボラ出血熱のうち、ザイール型の場合は死亡率が90%とされている。

 

 

しかし、これを正確に分析すると、発生国はザイール、コンゴ、スーダン、ウガンダ、ガボンといった医療体制が十分でない国々である。

 

 

実際には、90%の中には適切な治療を受けられなかったケースを多数含んでいることが判明している。

 

 

(流行国)

 

 

強毒タイプの鳥インフルエンザの発生国の多くは先進国ではないにせよ、中進国ではあり、WHOやOIE(国際獣疫事務局)に加入している。

 

 

そして鳥インフルの侵入・発生を監視する体制が、それなりには整っている模様。少なくとも放置したり、隠蔽したりはしてないと思われる。また都市部なら治療環境がだいぶ整っているらしい。

 

 

このように、そこそこ近代化が進んでいる国の医療体制であっても、鳥インフルは以下の図の通り、かなり死亡率が高い。

 

呼吸器の細胞を壊しまくるためである。

 

 

 

特にアジアでは発生数が多く、死亡率が高い。

 

 

しかし、インドネシアとタイは観光大国でもあるのに、よくぞ公表したものだと感心する。その勇気を称えたい。

 

 

 

 

・インドネシア、168/200=死亡率84%

 

・タイ、17/25=死亡率68%

 

・カンボジア、42/67=死亡率62%

 

 

・アフリカでのヒトでの発生報告はたったの二カ国のみ。これは発生がないのではなく、そもそも監視体制が整っていない、いや医療関係者に認知すらされていないと考えるべき。

 

 

(厚生労働省)

ここをクリック

 

 

(備考)

鳥インフルの発症者の母数はもっと大きいとする説がある。それはそうかも知れない。しかし、その逆に鳥インフルの死者のうち、死因が「単なるヒト型インフルやその他の原因不明の肺炎・脳炎」として処理されるケースも相当数あると思われる。正確な死亡率は誰も分からない。

 

 

 

かつて日本国内の某養鶏場にて鳥インフルが発生し、防疫作業員がH5N1に感染するものの、タミフルが発病を阻止した事例がある。

 

 

 

私が思うに、コロナ騒動は大変な惨事だが、もっと怖い感染症のパンデミックの予行演習を行った面はあると思う。

 

 

そして、どういう業界・職業の方々が国の要請に従わないかも、十分に把握することができた。