魚道...。
それは、すなわち、「なぜ魚という生物に生まれたのか...魚が生きるべき道とは?」ではなく、単に魚が通る通路としての、魚道なのである....。
哲学的な意味合いはない....。
とはいえ、魚道はなかなか奥が深いので特集を組んでみました。
基本的な魚道。
このタイプは昔からあるタイプですが、それなりに効果的です。幅が狭くてもなぜか魚は「その部分を見つけて」上がってきます。
幅が狭いほうが減水時でも、魚道に水を集めることで一定の水呂を確保し、魚を遡上させる利点があります。
とはいえ、これはいくらなんでも幅が狭すぎます。
いかにもアリバイ作り的に、「申し訳程度」に作った感があります。しかも、鳥にとっては格好の餌場となります。
でも、ないよりはずっといいのです。
こんなこと言っちゃっていいのでしょうかね?
はっきり言って魚道は基本的にコンクリートを固めるだけなので、特殊な技術などまったく、必要ありません。
設計は難しいかもしれませんが、工事自体は
造作もありません。
追加コストも大した額ではないと言い切ります。
参考までに一戸建て住宅をイメージしてください。
(画像借用元)
魚道を作るよりも、一世帯住宅を作る方が遥かに構造が複雑で、工程も煩雑で、たくさんの種類の資材や業者を使い、技術的にも難しいのです。
昔は”魚なんかのため、数百万円でも工事費がアップすることに、ガーガー文句を言う人はたくさんいたのです。
下の事例はもともと、従来型の魚道があったのですが、その真横に、そして川の中央と、計2箇所に「棚田式魚道」が追加増設されました。
(画像借用元)
こちらはループ状で勾配を緩和しています。
(画像借用元)
こういうのもあります。
まるで天空への回廊ですね。
長大な魚道
(東京都のサイトより無断借用)
そこで、天空をイメージする構造なので「君をのせて」を思い出しました。
(音量注意)
トンネル部分。
トンネル内は下水道ではなく、清らかな水。
しかし、魚道や側壁の補修、蛍光灯の交換の作業のことを考えると、もっとトンネルを広く掘ったほうが良かったでしょう。
こちらのサイトの閲覧を推奨します。
こちらはループ線
ほとんど、空中回廊です。
こちらはダムを超える魚道。
後付感と外付け感が100点満点です。
これはウォータースライダーの魚&遡上版です。
たのしいーちゅーねん。
基部は棚田式魚道になっており、減水時でも魚は魚道に入っていけます。
岐阜県にはこんな魚道「たて型壁面魚道」もある(砂防事務所資料)。魚道内の流況はよいが、下流側に工夫の要。 pic.twitter.com/ZQCFEjAzaR
— 水思魚語 (@SeiichiHarinko) March 27, 2018
(画像借用元)
水田と水路間の往来が可能。これならドジョウでも上がれそうです。
しかし、常に水田に水を供給することと、農薬を使わないことが絶対条件となります。これは営農上、厳しいかもしれません。
減収する分はしっかりと行政が補償しましょう。
(画像借用元)
しかし魚道には弱点もあります。やはり、それなりに流れが早く、段差があり、幅も狭く、ループ線だったり、つづら折りであったりするからです。
そのため、アユと言ったような、泳ぎが上手な魚の場合は登ってきますが、泳ぎが下手な魚や、カニなどの水生動物は魚道を登れません。
下の「カジカ」さんは、パッと見で直感的にいかにも、泳ぎが苦手そうな体型をしています。
(画像借用元)
そこで、こういう発想をする人が出てきます。
「そもそも」、魚道という人工物ではなく、ダムの脇にズバリ、「ゆるやかな本物の小川」を作ってしまえ!...となるのですよ。
うーむ、これはいいね。
しかし、無茶苦茶お金がかかりますよ。
小川の管理も大変なんだよ。
魚道の途中に罠を仕掛けて生け捕りにして、トラックで上流に運んだほうが安い。
ぜひとも以下のサイトの閲覧をお勧めします。
(画像借用元)
なお、産卵場所または生育する場所まで遡上できないなら魚道は無駄となります。ダムや堰堤がたくさんあるならその数だけ魚道が必要です。