私はとても忘れっぽい。
買い物メモを忘れて買い物に行ったり、家族から‘アレやっといて‘と言われたことを忘れてしまう。
耳鳴りの事は一番忘れていることだと思う。
毎晩30分は寝付く前に聞こええているのに、夜寝付く直前まで耳鳴りで苦しむことを忘れている。
昨夜は早起きをするので、30分早く寝支度をして布団に入ってとろとろしだして思い出した。それまでは、早く寝付けば早く起きても問題なし、順調順調。なんて気持ちでいたのだ。でもやっぱり音がし出してちょっと凹む。さらに、いつもはしばらくしたら寝付けるのに昨夜はどんどん大きくなって頭が痛くなった。やっと寝付いても音で目覚めて、結局4時間眠れたかどうか。こんな時は、寝足りないことと眠れない時間の痛みの合わせ技で次の日はしょぼくれている。
早朝、しょぼくれたまま新聞配達に出た。
人と会うと「おはようございます」と声をかけるようにしてるけど今日は当然覇気がないし、元気な時でも義務のような気持ちでぎこちなくするので相手も嬉しそうじゃない。
配達途中、エレベーターに乗って上の階に着いたとき、扉が開いた途端
「おはようございます!雨まだ降ってます?」
とエレベータ待ちの女性から声をかけられた。ぱっと明かりが点いたみたいだった。見覚えのない人で多分初対面だけど、快活で温かい声音にこっちも笑顔(多分)で答えてた。たったそれだけだったけど何か元気になっていた。
耳鳴りは、昼も夜もある。
でも、そこそこ眠れるようになってから‘苦しい時‘を忘れていたりする。それで毎日暮らしていけるんだと思う。ただその暮らしは‘現状維持‘になりがちで‘先に進む‘事をついうっかり忘れている。
無職で人とうまく付き合えないのに、眠れてスーパーに買い物に行ければいいじゃん、とそんな気持ちになっている。耳鳴りはそんな私を闇に突き落とす。もっとひどいことがあるんだと思い出させる。
苦しんだ後は、大きな忘れ物を思い出す。