2024.3.2. Fri.


吹雪いている。


これでは駅まで歩けないな、と思い、タクシーを呼ぶ。


コールセンターは、ごったがえしていて、タクシーは客待ち状態だと言う。それでも待つから、と言い、再び寝転んだ。



[コージーコーナー]で一服目。


くらくらきて、体が崩れるようだ。やはりダメか。一服目に金がかかるな、と思った。


ツナトーストを食べ、またたばこを吸う。今日は体が重くない。リュックから論文原稿を取り出す。





二日前の外出時の校閲と較べ、するする読める。頭が戻ったのだな、と思った。

夢中になって黙読をして、読み終えた。

13:16。

スレンダー美人はホールに出ていない。

今日はスレンダー美人は出勤しないようだな。


そう言えば…

昨日、グーグルニュースで、ウィンドウズは最新のプログラムに強制移行するとかなんとか言っていたな。入院したので、去年の11月終盤からまったくコンピュータをさわっていない。明日にでもアップグレードするか。

日常に戻っていくなあ。


三月七日に入院中世話になった友と酒食を共にする予定だ。論文は予想外に完成しているから、投稿は10 日、あるいはその週かな、と目算をたてる。

オリジナルデータはこの論文で尽きる。掲載されるか否かを決めつけるのは早急だが、僕の研究者人生はこれで終わりだ。あとは、これまでの業績をもとにした、和文のレビューを学会誌に投稿するだけである。

そうは単純に書くけど、頭の凝り固まった日本人研究者に果たしてレビューが受け入れられるか…

困難なことだろうと思われる。

だが、やらねばならない。遺伝子を同定していれば、品種改良の役に立つという風潮に風穴を開けなければならない。それは、博士課程の最中に生じ、博士課程を終えた時に強まった、僕の信念であると言える。

博士課程を終えてから、22年がたった。業績を積み重ねて、ようやく学を世に問う機会が訪れようとしている。

さて、去ろうか…

レトルトが無くなったので、冷凍庫から何か取り出さなければならないが、出てくるとき、冷凍庫のものを取り出さなかった。

帰りに馴染みの居酒屋に寄って、カレーを食べようと思ったのである。

地下鉄を上がると、大雪。

まだ降っていたのか…

ガラガラガラ。引き戸をひく。よく降るねえ、と社長。ずっと降っていたんだな。カウンターに腰掛け、一服する。

二月のいつ頃からだったか、担当医から外出許可が降りて、それ以来毎日、馴染みの居酒屋でたばこを吸いながら、くだをまいていた。退院後の一人の生活は何もなく単調。だから、特に社長と話すこともなく、開店前まで黙ってユーチューブを見ていた。

退院後飲んだ後の薬の副作用?件があったので、怖くて酒が飲めない。今日は食事だけで済ませて帰ろうと決めた。





酒を飲まない食事はわずか 30分。食後たばこを吸いに外に出た。すぐ先の景色が霞む程の大雪がやむことなく降っていた。これは早く帰ったほうが良いかと、会計をうながした。


アプリでMKタクシーを呼ぶ。この吹雪のなか捕まるかなあ、と思った。最悪、吹雪に向かって歩きながら、北大通りでタクシーを探すしかないかと覚悟していた。


コールセンターから、配車の見通しはたたないと連絡有り。30分待ってダメならキャンセルしますと僕は伝えた。


茶を飲んで待っていた。と、着信あり。MKタクシーの運転手からだった。後 10分かかりますがお待ちいただけるでしょうかと言ってきた。はい、待ってます。


助かった。


この大雪。週末の地下鉄最寄り駅では、タクシーは捕まらない。しかもMKは安い。ラッキーだったと言えるだろう。



帰宅する。


日中 26℃あった室内は、5℃。今日は大雪だけでなく、冷え込んでいたのだ。冷蔵庫より寒い室内で、暖房がまわりきるまで、手がガタガタ震えた。


病院に帰棟するのとは訳が違う、としみじみ思った。




〈魅惑の熟女シリーズ〉