[4/5話] 独自販路開拓と需給バランス | 農産物の産直マーケティング企業 オリザの公式BLOG

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こだわり農産物の産直マーケティング企業「株式会社オリザ」の公式ブログ http://www.oryza-i.com/

こんばんは。
今夜で4日目、そろそろ疲れてきました。
今日は、独自販路開拓の必要性と需給バランスについて書きます。

最近の農家の出荷形態を3つに分けるとすると・・
①全量JAに出荷
②大半をJAに出荷しつつ、一部を独自販路もしくは直売所
③全量を独自販路開拓

優秀な農協や、地方の結束力強い地域では、①が多いようです。
都市近郊の農家など、売れる直売所が近くにある場合は②ですよね。
昔から③で頑張ってこられた農家の方は尊敬します。

ここ10年くらい、直売所ラッシュで全国に1000を越える直売所ができました。
直売所のおかげで、農家と消費者の距離が近くなり、農家にとっても、
消費者にとっても良い刺激になったことは間違いありません。

農業者は土と向き合い、感覚を研ぎ澄まし、自分の満足いく農産物を創る芸術家です。
つまり、どうしてもプロダクトアウトになってしまいがちです。
食べる方(消費者)を意識しながら栽培するというのは、食べる方の顔が見えない
農協出荷では、難しいのは当然でしょう。

でも、自分で苦労して販路開拓をしている農家は、お客様の顔が見えているし、
直接ニーズやクレームを聞いているので、当然そのニーズに応えたいと思うように
なります。結果、マーケットインの思考で農業生産が可能になると思います。

口で言うのは簡単ですが、自分で販路を開拓するのは様々な困難が伴います。
特に企業相手に取引をする場合は、ロット管理や欠品対応、納入方法、シールや梱包資材まで
煩雑な農作業以外の業務に追われ、大きなミスがあると取引停止にされてしまいます。

オリザでは様々な企業さんとの契約栽培を推進しています。
契約栽培というのは、最初に様々な決め事をして契約に基づき栽培しますので、
先ほどのプレッシャーはより大きくなります。
ですが、1年を通して同じ単価で取引をすることができ、数量もある程度見込めるので、
農業経営としては非常に安定します。もちろんリスクもありますが。。
そのようなリスクを低減する為に、オリザでは全国の産地をリレーして栽培し、
協力農家のネットワークを活用することにより、企業の大きなロットにも対応でき、
かつ安定した農産物の供給体制の構築を進めています。

やはり、1人で苦労して抱え込むよりも、皆で協力して販路を開拓し、
協力して出荷した方がずっと効率的だし、営業もしやすいと感じます。
そもそもの協同組合の原点はそこにあるのだと思いますが。

ちょっと宣伝させて頂くと、オリザ流の全国産地リレー方式はこうです。
①オリザでマーケティング調査、消費者ニーズを収集
②消費者ニーズに基づき、栽培開発および技術共有・マニュアル化
③全国の生産ネットワーク農家の中からパートナー募集
④全国の農家に栽培システムを導入して、リレー栽培開始
⑤収穫した農産物は、品質管理を行い、同じブランドでオリザが販売

全国の農家が協力して、サプライチェーンを繋ぎ、最適化していくというところに、
オリザの強み?というかおもしろい部分かなぁと思います。

私達のように、企業様との直接契約栽培を推進していくと、
一方で市場出荷している農家さんの首をしめることにもなりかねます。
どういうことかというと、商品の価格というのは基本的に需給バランスで決まります。
特に市場流通が70%を超える農産物市場においては、より顕著です。

契約栽培が増えていくと、その分市場での需要バランスが崩れて安値となる可能性も
ありますし、結果的に契約栽培単価も値下げ交渉を余儀なくされるなどの
負の循環に入る可能性もあります。

重要なのは、価値のあるものを創り、その価値を理解してくれる方に対して、
適正な価格で販売できる仕組みを作っていくことです。
オリザでも、ここの仕組みづくりは、最重要領域として取り組んでいます。
ですが、「これだ!」というようなキレのある仕組みは見つかっていません。
これぞというようなアイデアがある方は、是非教えてください。

皆で知恵を出し合って、新たな仕組み作りに「今」動かなければ、
日本農業に明るい光はありません。
よろしくお願いします。