『少年』を鑑賞。25年前の作品を公開されると聞いて、旦監督の執念と鈴木清順監督の最後の出演作と聞いて駆けつけました。
16歳の純粋な少年が、ふとした事からボタンの掛け違いで、家族や彼を取り巻くまわりの人達とうまくいかなくなり、その鬱積した苛立ちから、階段を転げ落ちるように『破滅』へと向かっていく様子を坦々と描いていた。
いじめられて、引きこもりになった同級生。
自分の都合ばかり口にする両親。
ムカつく態度の教師。
そんな時に売春を強いられていた少女に会い、助けたつもりが、財布をとられて散々な目に遭う。野球部の先輩に誘われるままに、右翼団体の事務所に通うが、どこにも自分の居場所がないことに更に苛つく…。
家庭は崩壊し、母親は酒浸りになりしまいに家出をした。家には寝たきりの戦争で気がふれた祖父が残されていた。
父親に売春を強いられ、がんじからめになっていた少女と手を組んで、恐喝をしていたら、ヤクザに捕まってしまう。人質に取られた彼女を救うために窃盗をするが、彼女を返さないといわれ、逆ギレしてヤクザのピストルを奪い、更に逃走する。
どんどん追い詰められていき、関わる人を次々と殺していく。
怒りによる暴力と殺意は、さらにエスカレートして、大事な彼女も殺されて、次々と復讐を遂げていく。
めちゃくちゃ自分勝手で無知なんだけど、自分より不幸な少女をひとときでも悪魔の父親から引き離して救いだしたその勇気に、頑なな少女の心もすこしずつ打ち解けて素直になってきた。
似たもの同士の二人が、ほんのひととき、安らぎを掴めた瞬間は少しこちらも救われた気持ちになった。
彼を陰から支えていた、自転車屋の玄さん役の大鷹明良さんの存在もドラマになんともいえない趣きをあたえていた。
ツッコミ所は色々あるかもしれないが、不思議な爽快感は、純役の少年のもってうまれたキャラクターのせいかも。
性暴力、家庭内暴力、いじめ、荒れた学校、主婦の不倫と25年前に作られたとは思えない、
まさに今。
4月11日までの公開。
公式HP



映画評論家・尾形敏朗さんと監督の旦雄二さんのトークショーが開催されました。