思いつくことなど若い日に出会って 今もって忘れられない詩は いくつかあるが この季節になると 思い出すのは 白秋のこの詩 『片恋』 うっとりと、そしてまざまざと 情景を思い浮かべることが出来る。 詩人の色彩感覚というものは 優れたものだとしみじみ思う。 あかしやの金と赤とがちるぞえな。 かはたれの秋の光にちるぞえな。 片恋の薄着のねるのわがうれひ 「曳舟」の水のほとりをゆくころを。 やはらかな君が吐息のちるぞえな。 あかしやの金と赤とがちるぞえな。