先日、山形県鶴岡市に刀を見に行ったのですが、スタンプラリーのポイントである大宝館の1階に細幅鍵盤ピアノというものがありまして。「雪の降るまちを」を作曲した中田喜直先生の愛用品です。アップライトね。

 特注!手が小さいピアニストのみかた!普通のピアノよりオクターブで1.4センチ狭くショパン愛用のピアノとほぼ同じサイズだそうです。ということはピアノ全体も10センチぐらい狭くなって置き場所が楽に!どーですかお客さん!(誰)

 柵の向こうに置かれており、手を伸ばしても遠く、合わせてみることはできません。展示物の撮影は禁止。触るのも禁止。さーわーらーせーろーヾ(:3ノシヾ)ノシ 2階にアンケートあったんでこれから行く人書いてきてください。(←アンケートを見た頃にはくたびれてピアノの存在を忘れていた人)

 2010年の鶴岡音楽祭で演奏されたことがあるらしく、鳴らすことは可能なようですが、だいぶ古びて黄ばんでおります。

 

 中田先生は「ヴァイオリン等の弦楽器では、常に身体の大きさに合った何種類ものサイズがあるのですが、ピアノだけが1種類しかないというのは全くおかしな世界です」とおっしゃって細幅鍵盤ピアノの普及に情熱を燃やされたとのこと。普通の幅の鍵盤というのは欧米の体格のいい男性向けのサイズで、日本人男性にとってはもっと狭い方がもろもろ弾きやすいと。いわんや女性や子供をや。
 しかし残念ながら普及はしなかったもよう(´・ω・`) まあ、個人で所有して持ち歩くバイオリンと違って場所に設置する大きくて高価な楽器ですから、体格に合わせていくつも用意するというわけにはいきませんものな…。いろんなサイズのピアノがあった時代ならともかく、現代の常識においては無理だな。ピアノ弾きに行った先で置いてあるのが鍵盤の幅の狭いピアノだったら、おかんむりですよ。おかんむり。

 ちょっとしたコンサートホールでも、常備されているピアノは1台。大きなホールだと数台あることもありますが、それは予備や二重奏用なので、細幅サイズも揃えるとなると2倍必要でしょう。家では細幅鍵盤、ステージでは普通の鍵盤というわけにもいきませんからな。持ち歩きのできるキーボードでも普通のピアノと同じ鍵盤幅のを求めるぐらいなので、いろんな幅の鍵盤があったら弾く方はたまったもんじゃないです。普通幅のピアノで普段練習している曲は、ミニ鍵盤のキーボードでまともには弾けません。

 …と手が小さい本人ですら思うのですから、普及は苦難の道ですな…。ちょっとググってみると「細幅鍵盤ピアノ普及させるべき!」って熱弁してる書き込みの下に「は?むしろあったら困る。いらない」って感じのコメントがついていて心が折れる。ベキボキ。

 それも普通幅鍵盤が席巻している世の中だからであって。細幅の方が標準的になれば、いやせめて半分ぐらいのシェアがあれば、女子供も小柄な男性も、オクターブ連打で手を傷めたりしなくてすむのでは?ショパンと同じなんだよ?これもっと主張して行こう!?

 

 アップライトピアノで14㎝や15㎝などのオクターブサイズ|細幅鍵盤のススメ ~ショパンとピアノと鍵盤と・・・小さい手~

 「大宝館」中田喜直先生のピアノの鍵盤サイズが分かりました!|細幅鍵盤のススメ ~ショパンとピアノと鍵盤と・・・小さい手~

 詳しくは私などが語らずとも既に熱く語っている方がいらっしゃいますので、ご参照ください。

 

 このように、手が小さいとオクターブ和音を押さえる時に鍵盤の手前の端っこに引っかけるようにしなければなりません。この形で素早く動いてメロディ弾くとか、泣く。

 

 しかし、細幅鍵盤であれば!このように上からアプローチすることが可能となります!演奏の幅が広がりんぐ!鍵盤の幅が狭まって演奏の幅が広がるとはこれいかに。

 あまり狭いと弾きにくくなるのは言わずもがなだし、バリエーションがありすぎると作る人が困るので、このショパンと中田喜直さんと同じサイズというのはいい落としどころではないかと。

 

 いろんな場所のステージで演奏する人は細幅鍵盤ピアノが混ざってきたら困るでしょうが、私のように家で弾いて演奏動画撮るばかりの人間が家に備えるというのアリなのでは…と思いました。最初から家で弾くだけを目指してお稽古始める人もなかなかいないでしょうけど。

 日本ではカワイさんに特注すると作っていただける、かもしれない、らしいですが、電子ピアノでは受け付けていないと。しかし上記のようにおうちで使うことを考えると、アコースティックより電子ピアノが狙い目じゃないです?(・ω´・)んん?大量生産できるほど需要がないと庶民の手には入らないでしょうが…。

 特注すると当然普通のピアノよりお高い。めっちゃお高い。しかしいろんな所で演奏するプロの方は細幅鍵盤は使えない。じゃあ特注するのはお金持ちの趣味人だけじゃあないかい?どうなんだい?

 カワイが細幅鍵盤ピアノ特注受付を再開!?|細幅鍵盤随想記


 ピアノの鍵盤の幅はなぜこの幅なのか|細幅鍵盤随想記

 細幅鍵盤にちなんだのか幅の狭いブログだなw
 今の鍵盤の幅がこうなのは別に構造上の必然性などではなく、発明されたばかりのピアノがたまたまこの幅だったらしい。鍵盤の幅を狭めても音の豊かさには影響しない。
 18世紀の終わり頃、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンなどの巨匠たちが跳梁跋扈する頃には様々な幅の鍵盤のピアノが作られ、自分の手の大きさに合ったピアノを選ぶことができたとのこと。それが18世紀の終わり頃には今の大きさの鍵盤に統一されていたのは、ダイナミックな演奏をするデカい男性ピアニスト人気と、大量生産の暴力。ぐぬぬ。
 つまり、ベートーヴェンやショパンは今より幅の狭い鍵盤のピアノであれらの曲を作っていたんですよ!それをなんでチビの日本人が、女子供が、幅の広い鍵盤で弾かねばならんのか!アホか!!(エキサイトしております)

 昔のピアニストが演奏旅行をする時は愛用のピアノもいっしょに持って歩いたのだ。ピアノ担いで戦うライエルだって笑い話ではない。笑うけど。担ぐのが嫌だから規格が統一されているべきというのは正論なのだが、2種類ぐらいどうにかならないものか。時既に遅いのか。

 

 と、刀を見に行ってピアノでエキサイトしたお話でした。整骨院に行こう。