表面的な特徴か深層の減量か | 井上正幸のブログ

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専門家が複雑な問題を解決するためのアプローチを選択する際には深層の原理を観察しているのに対し、初心者の場合には問題を確実に解くためには役に立たないような表面的な特徴に目を向けてしまうことがわかった。
「最高のコーチ」ダグ・レモフ


こちらは「表層的な現象」なのか「背景にある意図」なのかと考えることができる。
結果として表れる現象に対して評価することにそれほどの知識を必要としないが、背景にある意図を読み解くためには知識が必要となる。

「今あるスペース」を見て、「外側にスペースが生まれた」と評価するのではなく、それ以前の状況から何が起こるのかを予測し、「なぜそうなっているのか?」を攻防両面から考える必要がある。

その問題は、防御側のミスによるものか、意図的な防御を逆手に取られたものかと切り分けて考えることで、背景を読み解くことができる。


BDにDFが集まって外側にスペースが生まれるのは、「ボールウオッチ」によって、ボールにDFが集まって起こったDFのミスによるものなのか。
DF側が意図して近場のDFを厚くして外側にスペースを与えて、ボールを外側に運ばせたところを足の速いBKに止めさせようとしているのか。

前者であれば、ポッドを作りボールを左右に大きく動かすことで簡単にDFを崩せるし、後者であればモメンタムのある攻撃でゲインを狙い、順目側にフェイズを重ねることでDFを誘導し、逆目側に大きなスペース
を作り攻略することができる。


また、エッジから折り返し毎回9sを当てる攻撃をするチームは、それが移動するためのトリガーになってるのか、複雑な状況下で意思決定することに不安を抱えているため、状況が単純化するまで待つ、もしくはFWで状況が解決するのを待つために9sを当て続けているのか。
DF側からすると、どちらにせよその9sにプレッシャーをかけることに代わりはないが、前者は意思決定者が交代しない限りは脅威はない。

同じ現象であってもその背景にある意図や思考や感情によって、意味合いが大きく変わってくる。
知識を獲得し、こうした物の見方を変えていかなければ、ゲームの駆け引きを理解するのは難しい。