制約主導アプローチ その3「バリアビリティ」 | 井上正幸のブログ

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システムやスキル、運動そのものは多数の制約が複雑に作用し合っており、その制約を操作することで、新しいコーディネーションパターンを生み出す「相転移」現象を起こすことができる。

この「新たなコーディネーションパターン」とは、新しいシステムであり、課題と言える。


つまり、ある課題に対して、予め運動のソリューションを与えるのではなく、制約によってパフォーマンス目標を与えて、自身の探索による「自己組織化」を狙う「エコロジカル・アプローチ」が「スキルや判断」に対する実践への転移を起こしやすいと言われている。

伝統的なアプローチでは、一貫した動作を反復させ、動作を安定させることを求め、エコロジカル・アプローチでは、補正する能力を求めるため、安定性と変動性が求められる。



優れた選手は優れた「変動性」を持っており、違う動作を使いわけている。

つまり、ある局面を攻略するために色々なコーディネーションパターンを持っており、より環境に適応できるコーディネーションパターンを選択できる。

そのためには、練習でソリューションを与えずに制約による探索が必要なことと、練習自体にバリアビリティ(変動性)が必要になってくる。


つまり、同じ状況の練習ばかりしていては、同じコーディネーションパターン(プレイ)で解決できてしまうので、同じ目的の違うメニューを与えたり、複雑性のレベルを上げることで、選手は新たなコーディネーションパターンを探索することができる。



1番学習が進むバリアビリティのゾーンを「アダプティブゾーン」と言い、新しいプレイにチャレンジしないと成功しないのと今までのプレイで解決できるのと混在しているのがアダプティブゾーンと言われている。


エコロジカル・アプローチを使って練習を作る時は、こうした「バリアビリティ」も考慮することで、より学習を促進することができる。