対馬市美津島町鴨居瀬に鎮座する住吉神社で旧暦9月13日に

当たる10月27日、秋祭りがあった。新型コロナも下火になり、

海岸のに境内に集まった氏子たちの表情は明るかった。

 

 神社は紫瀬戸に隣接する風光明媚な地で古代の伝説を秘めている。

江戸時代、日本を訪れた朝鮮通信使の一行は紫瀬戸の景観を

楽しみにしていたという。そのため対馬藩は通信使の船をわざわざ

狭い瀬戸を通行させていたそうだ。

 

 鴨居瀬の集落は人の手のような地形の奥に成立している。そのため

神社から御旅所に向かい、その後は車に神輿を載せて元鴨居瀬、

新鴨居瀬、長手、細浦、飛渡、住吉、幸崎の順で浦々の集落を

巡行した。

 

 7~8年前までは、先導船、御座船、御伴船を整えて海上から

各集落を巡っていた。住民は船が湾奥に入ると合掌して拝んだ。

船は新造船の中から選ばれる習わしであった。神社から御旅所までは

氏子たちが神輿を担いで運んでいた。

 

 しかし高齢化と過疎化で神社などの行事も簡略化されている。

直会(なおらい)後に行われていた奉納演芸会はコロナで中止され

今年も行われなかった。

 

 紫瀬戸には、赤紫色の海藻が繁茂しており岸辺から見ると海が

赤く見える。