富士は日本一の山です。その頂には久須志神社が鎮座している。

久須志は「クスシ」と読む。浅間(せんげん)神社の奥の院だそうです。

そんなわけで久須志神社は偉いのです。山頂から下界を見てござる。

 

 そこで久須志の意味を調べてみました。まず、久須と志を切り離して

それぞれの意味を考えた。クスの地名は対馬にも数か所あります。

上対馬町玖須、美津島町久須保、同町久須ケ浜などです。

 

 上対馬町玖須は北部東海岸の舟志湾の最奥部に位置する集落です。

美津島町久須保は中部東海岸の三浦湾の南側の奥まった漁村です。

同町久須ケ浜は浅茅湾南岸の入り江で最も南にあり鶏知にも近い。

 

 三地区に共通するのは湾の最奥部ということであろう。久須・玖須とは

国栖(くず)であろうか。対馬のクスは湾奥部にあるが富士山の久須志神社は

山頂に位置している。しかし、共通項は行き止まりである。海の行き止まりと

山の行き止まりになっている。

 

 問題は「志(し)」で、文字を考えると複雑になり迷路をさまようことになる。

対馬には舟志や田志などの志を当てた地名が複数ある。ただ、本来の

意味は「司(し)」ではなかったかと推察している。司であれば富士山の

久須志神社も納得がいく。

 

 古から富士山は信仰の山で国民は大切にしてきた。そのため山中で

狼藉や不埒をしないように役所(司)を置いたと愚考している。その

役所が祭祀していたのが久須司神社であったとみている。