残せるもの...自分がこれから生きて残せるもの。


自分が死ぬその時まで、何を残せたら、「幸せな人生だった!」と思えるのか?


生きている間に、この地球上に残せるものは、ひとそれぞれだと思う。


法隆寺や東京タワーのような立派な建築物や、名曲や名画と言われる作品、


教科書に載るような小説、自分のDNAを受け継ぐ者...etc.


もちろん、そんなものが残せたら満足かもしれない。


でも、きっと死ぬ段になって、結局幸せだったと思えるのはこの世に何を残したなんてことではなくて、


自分の中に何を残し、それをあの世に持って行けるか...ということのような気がする。


我儘のような気もするが、最近になって、そんなことを考えている。




『ひな菊の人生』
      吉本 ばなな

      ひな菊の人生 (幻冬舎文庫)


この『ひな菊の人生』に出てくるひな菊。


生まれついて父もなく、幼い頃母も事故で亡くし、ひな菊の孤独な少女時代を支えたのは、ダリア。


そのひな菊は、育ててくれた叔父叔母の店で、死んだ母もそこでしていたように、


毎日焼そばを焼いて暮らしている。


それがどうしたの...他人が聞けば、そんな人生かもしれないが、


ひな菊とダリアの間にある想い出や絆。 それがあれば、いつも何処かで彼女達は頑張れた。


きっと幸せな人生とは、そういうものをどれだけ、


大好きな人や、大切な人、何かの縁で知り合った人と築けたか?なんじゃないかな。


それが宝物で、財産だ。 あの世に持って行けるものは、所詮それだけなんだし、


そして、その財産はきっと相手の心の中にも残っているものなのだろうから...。



まだ、若いので、この地球上に何か残してやろう!という気持ちも捨てきれないが、


(すみません、そんな大きなことは考えていません。 数や形で表わせる財産のことです。)


そんなことを漠然と考えていた自分に、この吉本ばななの作品はツボでした。


彼女の作品は、いつかは死ぬ存在である人間が生きる、その中にある「輝き」をいつも描いている。