私の尊敬する先輩ナースの息子さんが高校中退して

それ以来ずっとひきこもり状態になっている。

 

現在息子さんは25歳なので…もう7年くらいひきこもって

いることになるんだけど、初めのうちはダイニングまで

ご飯を食べに降りてきていたのが、最近ではもう1階に

降りてくることもなく、母親が毎日ドアの前に1日2食

運んで、トイレやお風呂は夜中に使っているようだと。

 

先輩は「本当はダメなんだろうけどねぇ…」なんて言っている。

半ばもうあきらめている感じが伝わってくる。

 

心療内科も結局「本人が来なければ治療はできない」と

本人が通院することが前提だし、色々と家族会とか

ひきこもりの家族相談会なんかにも行ったみたいだけど

結局息子さんはずっとひきこもったままだそう。

 

先日とあるひきこもり支援サイトで、ひきこもりの

状態が3年以上続いてしまったらもうそれは「こう着」

状態であるため、本人の意思を尊重とかいつか変わってくれる

なんて期待はせずに第三者の介入を入れた方がいいと

言っている臨床心理士の人がいて、まぁ、確かに

そうだよなぁって思ってしまった。

 

そう、病状はこれから上がりもしないし下がりもしない。

「こう着状態」なるほどねぇ…って思ってしまった。

こう着とは「ずっと同じことで変化がない状態」だそうで。

そこからは本人だけでは抜け出すこともできない「底」

なんだなって。ある意味「着地点」に到達したってことで。

 

なんかそれを読んだときに私が元夫に退職日を忘れられて

それを今でもめっちゃ根に持っていて、でもその状態も

もう何年も経っても解決しないし未だに思い出すと悔しいし、

でも私のその「感情」も「こう着状態」なんだろうなって思った。

 

上がりもしないし下がりもしない。

 

でも私の人生にとって社会生活の支障になるほどでもないから

その感情はこう着状態のまま持っていてもいい感情なんだと思う。

無理に解決しようとせず「こう着状態だから」と思うと気が楽になった。

タイタニック号のように変わらず、引き上げることもできず、

そのまま海の底に沈めておけばいいのである。

(ひきこもりや不登校は引き上げる必要があると思うが…)

 

私が不登校や引きこもりの人たちの就労支援をしたいと思った

きっかけがその先輩ナースの台詞だった。

先輩ナースはもう50歳近くて、家族の中にもその息子さんだけ

でなくもうひとり重度のうつ病を抱えている人がいて、

彼女しか働けないし家計を支えているのも彼女。

患者だけじゃなくて家族も立派な第二の患者なのである。

 

本人の苦しみも分かるが、その家族を支える人だって必要なのだ。

私自身も患者家族で大変な思いをしたからこそ患者家族の

支えになれるような看護をしたい、そう思って次の就職先を選んだ。

こうやって書いてみると私はきっと家族看護をしたいんだと思う。

 

ということで、4月からは精神科の往診クリニックに就職と

なりましたので、引きこもり休職生活にもピリオドが打たれます。

でも8か月間、休職して、自分の人生や感情も整理整頓できて良かった。

この8か月間は絶対に無駄にしないって思っている。