夫の脳腫瘍発覚、手術からもうすぐ3年になる。

 

家族の病気を経験し、一旦(この先何があるか分からないから)乗り越えた。

しかし、この出来事が私の人格形成及び看護に対する姿勢を根底から変えてしまった。

 

ここ最近の私は患者に対して本当に優しくない。優しくなれない。

 

患者と自分は別の人格で立場も生きていた環境も考え方もまったく違うと思っていても、

何となく自分と比べて他人に対して卑屈になっている自分がいるのだ。

 

ここ数年医療の現場は接遇接遇やたらとうるさい。

接遇って言葉とその意味すらよく分からないんだけど。

 

私の上司(看護科長)は「例え患者さんのためを思って言った言葉だとしても患者さんが

不快に感じたら貴女の伝え方が悪い」というタイプ。

 

多分私が患者さんに言う言い方がきついんだと思う。

 

夫が病気をする前は以前の看護部長に「貴女の接遇は素晴らしい」と褒められたことも

あったけど、今の私は患者に対して「それくらいのこと自分でやれば?」オーラがすごいらしい。

 

ここから先の文章はまとまりがなくなると思うので長文に耐えられる人のみお進みください。

 

田舎の病院。

 

そこはある程度の規模の都市に住む人が想像を絶するようなことが時々起こる。

過疎地にある病院に入院している高齢者は身寄りがないか、家族も遠く離れて独居だったり、

こんなに認知症が進んでいるのによく今まで独居だったねって人がかなりいる。

 

過疎地であるあ故、生活も貧しくて、貧しい親の子どもは間違いなく貧しくて、

結婚して共働きで高い保育園代を捻出しながら子どもを育てているので今更年老いた

親につぎ込めるお金も時間もない。

 

そこで病院にずっと親を置いておきたい。

過疎地だから受け入れ先の施設があるわけじゃない。

難航する退院支援。行き先のない患者はある程度のリハビリ期間を経て退院しても

「あの病院は病人を捨てる」と嫌な噂を立てる。

 

独居で身寄りのない患者、傍に家族がいない患者は入院すると一気に元気になる。

特に私の勤務する病棟は整形外科病棟だから、骨が折れている場所以外はみんな元気なのだ。

 

看護師に優しい言葉をかけてもらう、それだけでほろっとして多弁になる。

人の都合は関係なしにそれくらいのこと自分でできるでしょ?ってことも甘える子ども

みたいに何でも頼んでくる。

横の患者さんがやってもらっているんだから私もやってもらいたいとしゃしゃり出てくる患者もいる。

人間のエゴがむき出しの「患者」を見て、ここ数年、特に夫の病気が回復して今の田舎病院に

復帰してから患者という存在が気持ち悪くてしょうがなくなった。

 

夫の病気の最中にお金のことや生活のこと、おろおろしまくる夫の親の面倒、

全てみてきたつもりだった。

 

だからこそ、なんでこの人(今目の前にいる患者さんのこと)あかの他人にそんなに人に甘えられるの?

気持ち悪いって思うのかも。

 

感謝の気持ちが足りない、そんな感謝して何か変わる?

変わった?何か変わった?辛かったことは変わらない。

誰か私のこと救ってくれた?その経験を通じて私成長した?

 

メンタルは強くなったし以前ほど、全くと言っていいほど泣かなくなったけど。

食事の味は全部一緒に思えるようになって、食事を作ることをやめた。

あるものだけでご飯を食べて、特別食べたいものもなくなった。

高い料理やレストランに行ってもすべての味が同じに思える。

 

ただ気持ちはもすごく平坦になった。

夫への接し方も、患者への接し方も平坦で無機質。

そしていらない友達との縁はどんどん切って、仕事以外では誰とも喋らなくなった。

犬が死んで散歩で外も出なくなったからさらにコミュニケーションも減った。

 

最近変わったことといえば去年10月から思いつきでランニングを始めてしまって月100㎞

ペースで走っているんだけど、その時だけかな、外に出て何か活動するの。

 

人とのふれあい、コミュニケーション全てが面倒くさくなった。

患者の話、特に聞きたくないし興味ない。

人って所詮自分が生き延びるために人を利用して、犠牲になっている人もいっぱいいるんじゃないか。

斜め下からしか物事を見れなくなった自分がいる。

 

どうしてこうなったのか、夫の病気がきっかけだったのか、それとも別の要因があるのか。

思い出すのはあの切羽詰まった状況、「れいちゃん、助けてよ、何とかしてよ」と

迫ってくる夫の両親の顔、確かにあの時は病気でどうしようもなかったけど、何もできない夫。

 

まー、つまりは私も誰かを頼りたいし、大事にされたい!ってことなんだろうね~。

でも知っている。自分を大事にできるのは自分だけ。他人じゃない。

私の幸せは私のために自分自身が見つけてみせる。

 

占い師、霊能師、スピリチュアル、前世過去未来、もうそれすらも信じない。

って普段思っているけど、ちょっと昨日の天皇退位のお言葉にはほろっときたなぁ。