そういえば今年の6月で夫の脈絡叢乳頭種摘出術後丸3年。
幸い夫の脳腫瘍は再発もなく、前回の受診でイーケプラも切れたのでこれで今後の定期受診の回数も減るな。
確定申告も終わったけど、去年の医療、通院費は20万ちょっとだった。
MRIとか造影CTとか、イーケプラももちろんお値段するけど、今住んでいる地方から女子医大までの交通費も
かなりの金額になる。私たちは常に前泊して行くからこの医療費の中に宿泊費は込まれていない。
こうして金額を見ると健康のありがたさを思い知る…。
あの頃、辛かったな、夫も働けず、愛犬もガンになり、お金も大変だったな…とまぁ、思い返すけど、喉元過ぎれば
ではないですが平和な生活に慣れてきているここ最近、心がザワつく事件発生。
個人情報もあれですが、今働いている病院に20代半ばで脳腫瘍、もう末期の状態の患者さんが入院していて、
病棟は違うのですが、一応OO病棟に今大変な患者さんが入院していてみたいな情報が回ってくるじゃないですか。
最初は若い患者さんで大変ね~、って思っていたらなんと同じアパートの住人だったという。
小さいお子さんがいる子育てママで、廊下で会えば挨拶するし、彼女は階下に住んでいるんだけど、彼女の
お母さんが私の家の隣に住んでいるので洗濯物干す時とか会ったりもするので話をしたりしていたんだけど。
確かに前回夜勤の日の朝に寝ていたら至近距離で救急車のサイレンが鳴っていて、近いなと思っていたけど
まさか家のアパートからの出発とは思わないじゃないですか。
もう医師も手が付けられない超巨大脳腫瘍。家の夫の脳腫瘍はピンポン玉大だったけど、彼女のは
スーパーで売っている小ぶりのブロッコリー大で、CT上脳室が潰れて変形してもう全く元の形じゃない。
医師曰くもともと子供のころからあったんじゃないかって。今まで何の症状もなく今日までこれたのが
不思議なくらい。症状が出たのはここ1週間くらいで、嘔吐して、受診して、翌日脳神経外科を受診予定
だったのに朝起きたら自宅で心肺停止しており救急車で運ばれたそう。
これがね、全然知らない人なら「あー…お気の毒な…」で終わってしまうけど、同じアパートの住人で彼女の
子どもとも話す機会もあったからなんか複雑な気持ち。まだ小さいお子さんもいるし、とても若いから。
今は脳死の状態だけど、若いから人工呼吸器に繋がれ、強心剤を持続点滴し、結構何日もご存命。
お隣のお母さんがドアをバタバタ開けて昼夜を問わず出入りしている音も聞こえるし、事情を知ってしまって
心がザワつき、ここ数日私もあまり精神的に休めた気がしない。
あの夫の闘病期間の辛さを思い出すのもそうだけど、よかった、夫の脳腫瘍が無事に取れて、悪性じゃ
なくて、今も生きていてくれて本当によかったとホッとしたり、やっぱり大変な時の記憶って日常生活を
取り戻すと薄れていくから1日1日を大切に生きなきゃ、夫のこともっと大切にしなきゃ、一緒の時間を
作らないとって思ったり。
私の場合常に自分中心な考え方なんですけどね。でもそれでもいいの。
自分も家族も守れるのは自分しかいないから。
夫の闘病期間はとにかくスピ系の人がめっちゃ周りに寄ってきて、あれがいい、これがいい、根拠のない
余計な情報ばかりが入ってきて、私もメンタル崩壊しそうだった。
昔の古い教科書には看護師は患者に「共感」し、なんて書いてあるけど、世の中に患者という人は何人もいて、
いちいちその患者さんに共感していたら身が持たない。
だから私は患者さんの話を聴いて、今困っていることを探し出して、それを解決していきましょうというスタンスで
接している。余計な感情は移入しない。ただ、やっぱり「脳腫瘍」は私にとって心をざわつかせるワードだ。
夫が脳腫瘍になってから、身の回りに脳腫瘍の人が増えた。
良性から悪性まで。でも実をいうと特別な病気ではなく意外とメジャーな病気なのかもしれない。
家族が脳腫瘍になったから、自然とその病気にフォーカスがいくようになっただけなのかも。
やたらOOさんが脳腫瘍になったとか、お世話になった先生が脳腫瘍で行動がおかしくなって受診したら
脳腫瘍で、すごい大きさだったけど手術して取れて正常に戻ったとか、そんな話を最近よく聞くし、
入院を取っていたら既往歴に「脳腫瘍」って書いてある人がいて、「え?脳腫瘍だったんですか?」って聞いたら
「うん、放射線で治療終わったよ、それより今は前立腺がんでさ、薬飲んでいるんだよね」なんて軽いノリ?
な患者さんもいたり。みんな脳腫瘍だけじゃなく色んな病気を抱えて生きているんだなぁ。
ちなみに、その脳腫瘍で末期の患者さんは、症状が出るまで子育てと仕事に忙しく受診歴はなかったそうです。
家の夫も脳腫瘍が発覚する1年位前に耳の奥が痛くなって、ちょうどサーフィンした後で、中耳炎かもって耳鼻科
2軒はしごして、CT撮ってもらったけど、脳腫瘍は指摘されなかった…っていうか、写っていたのかもしれないけど
耳鼻科の先生には分からなかったのかもなぁ。
育児や仕事も大事だけど、健康があってでこそなので。自分自身を守り、気にかけられるのも自分自身。
皆様、ご自愛ください。お隣さん、大変だけど頑張れとちょっと気にかけています。その大変さは個々の患者家族に
よるけれども、乗り越えていかないといけないし、時間は前にしか進まない。