看護師という職業上、色々な患者さんに会います、そして私も患者家族という立場。

家の夫は脳腫瘍だったけど、私は外科、整形外科の混合病棟に勤務しているので、その中でもやはり

がんの患者さんを受け持ったり、ターミナルという患者さんのお看取りなんかもあったり。

 

先日とあるがん患者さんが入院してきました。

 

その患者さんは去年まで元気に仕事をしていた人で髪の毛もふさふさしていたそうです。

経緯はよく分かりませんが、聴いた話では前医で肛門付近にできた腫瘤を痔と診断され、

その4か月後にははっきりCTにも写っていたのに経過を見ましょうと言われ6か月後にやはりガンです、

取りましょうと言われ手術を受けたのに2か月後に再発して再度手術を受けた。

 

前医に不信感を抱きがんセンターを受診したら今度は肺転移が見つかり、現在は肝臓にもがんが転移。

がんセンターからは抗がん剤治療を断られたけど、何とか頼み込んで抗がん剤をやってもらっている。

(私たちの住んでいる地域は田舎なので)がんセンターが遠くて体力も落ちてきているので通院もつらい。

でも頼み込んで抗がん剤をやっているので通わないわけにはいかない。

 

今回がんセンター受診前に食べられない、動けないになってしまったのでこちらの病院に入院

させてもらって点滴を受けて、でも明日はがんセンターの抗がん剤治療の日だから退院してがんセンターに行く。

 

かなり端折って書きましたが。

 

そのような経緯をですね~、延々と訪室した看護師(私)に話すわけですよ。

まず前医に誤診されたとずっと言っていますが…。確かに分かるんですよ、彼の言い分も。100歩譲って。

だけど、私だったら命やがんを軽く見ないから絶対にそこでセカンドオピニオン聴きに行くと思うんです。

仕事が休めないとかそんなくだらない理由で健康を損ねたら意味ないでしょ。

 

「先生が大丈夫だっていうから手術を受けた」って、他人をそんなに信じちゃダメ!

「この地域にはいい医者がいない!」だったら余計セカンドオピニオン聴きに行こうよ!

「あの誤診さえなければ俺はもっと健康でいられた」いやいや、人のせいにしても元に戻らないから!

「抗がん剤を断られた」う~ん…今のメタメタ(転移しているという意味です)の状況であれば緩和に移行してもう

抗がん剤を頑張らなくてもいいんじゃないかな…。

「都内に行ってお金を積めばオーダーメイドの抗がん剤治療が受けられる」やめたほうがいいと思う。

 

そんなことを心の中で思い、彼の話に心の中で突っ込みを入れながら傾聴すること30分!!(ちなみに夜勤中)

そして翌朝の訪室時も同じ話を30分以上聴かされ…私のメンタルは折れませんがグッタリです。

 

キューブラー・ロスの死を受け入れる(これは自分の置かれている状況を受け入れることにも繋がる)段階

じゃないですけど、おっさん、全く受け入れられていないし、自分の解釈で中心で全く人が到達できないところに

暴走している!もう知らない人(私もその日初めて関わった)に愚痴っている時点でかなりメンタル病んでる!

 

なんなんでしょうね、医者には言わないのに看護師には弾丸のようにしゃべってくる人、不定愁訴を訴えて

来る人、治療方針の不満をぶちまける人。もうさ、主治医と相談してよ…。

 

患者家族でもある私はなんだかその図々しさが羨ましいやら悔しいやら。

 

私なんていつも人から相談を受けたり愚痴を聞かされてばかりでもう嫌になって人間づきあいを制限している

くらいなのに…。夫が病気になった時も周りにちょっと話しただけで「病んでる」認定されて、もう病んでる人って

言われたくないからわざわざ高いお金払ってカウンセラーのところに行って話を聞いてもらったりしたのに。

傾聴ボランティアじゃないんです、業務中です、時間がないんです、看護師は誰でも話を聞いてくれるとでも

思ってんの?暇じゃないんです、コール鳴っているんです、点滴終わるんです、更新時間なんです…

冷静を装い、もじもじすると話を聞いていない人って思われるから指先すらも動かさず、相手の目を見て

ひたすら傾聴、傾聴、お願い、もうそこで話を終わりにして、または話す内容は簡潔に原稿用紙2枚以内に

収めて頂けますか~と堪える。

 

この患者さん、朝から聴いてくれる人がいて、八つ当たりできる人がいるのって幸せなことだな…

聴いている私も私だな…なんて頭の中で思いながら部屋を出る。

こういう人って誰にも構わず自分がいかに置かれている状況が悲惨かを相手の都合も考えず言い散らして

それでも納得せずに怒りを抱えて死んでいくんだろうな…。

負のオーラをひたすら誰かれ構わずにぶちまけて、それでも自分が一番かわいそうで悲惨な人なんだろうな。

私は絶対にそうならない…と心に誓った日。

 

人は反面教師。

職業柄色んな人に会って、色んな患者さんの人生ドラマに嫌でも足を突っ込まざるを得ないけど。

きっと学びも多くある。けどなぜだ、結構イライラしてしまった。

納得できない。

けど9時になったらもう忘れよう。ランニングして嫌なことは忘れよう。そんな私の日々。