職場で関わっている患者さんと家族の話なんだけど。

 

膵臓がんの末期の患者さんで、胆嚢とか膵臓とか症状がなくて発見されたときはもう余命数ヶ月っていうパターンが非常に多いので、その患者さんが入院してきた時も診断名を見て、あぁ、もう余命数ヶ月くらいなんだろうなぁって思っていた。

 

でも私が勤める病院の患者さんは膵臓がんで「余命数ヶ月」って言われてもみんなjかなり長生きな方だ。平均4か月~5か月くらい生きている。私の中での余命数ヶ月は3か月っていう認識なんだけど。

 

4か月から5か月余命が残されているとしたら、私だったら何をするだろうなって考えてしまう。

 

残念なことに今勤めている病院は医者が変な人が多くて無駄な検査も多いし、検査結果が出るのにも時間がかかるし(これは外注していることもあるので一概には言えないけど)その間もずっと入院していないといけないとかね。

 

医療時従事者からしたら病院なんて不潔でプライバシーもあまり保たれないし、用がないなら早く帰りましょうって思うんだけど、日本人は皆保険制度があるせいかみんな入院が大好きだよなって印象を非常に強く受ける。特に高齢者。

 

急性期の病院は入院期間に限りがあって、現在では包括医療で患者を早期退院させれば診療報酬も大きいし、患者を長期に入院させればさせるほど診療報酬も下がっていくし病院の持ち出しも大きくなっていくので病院はある程度の患者の治療が落ち着いたら自宅へ戻るか、施設に行くか、療養病院に移るか、がんの末期でこれ以上治療法がないのであればホスピスか在宅かって選択を迫ってくる。

 

がんの末期の患者さん、今の病院では高齢の方が多くて、がんと診断されても最近の医師は余命を伝えることはまずないというか、「言った、言わない」で訴えられてしまうこの時代だから先生たちもそこらへんは曖昧に病状説明をするもんだから、患者家族も大迷走してしまう。

 

先日その末期の患者さんが、痛みが強いからずっとモルヒネの持続点滴をしていたのに、休み明けで出勤したらなんと貼るタイプの麻薬に切り替わっていて衝撃を受けた。何考えてんだ、医者。持続で静脈に麻薬入れていたのがフェントス1㎎に切り替わったら痛みが増強するの当たり前だし、そんなオピオイドローテーション聴いたことないぞ?まだ看護師のほうが勉強しているぞ?

 

って思ってリーダーに確認したら、その患者さんは先生の見解では「病状が落ち着いてきている(治療的にはもうやることないってこと?)」のでそろそろ転院ですねって話を家族にしていて、療養病院に転院の方向になっていた。私の勤める病院の近所にはホスピスがあって、ホスピスはがんの終末期であれば入院できるから、そこじゃないの?ってみんな思っていたのに、なぜ療養?

 

事件はその後起こった…。

 

なんと患者家族は患者さん本人に告知していなかった…。未だにいるんだよね…家族ががんになっても患者本人に言わないでください、本人のショックが大きいとか、本人が受け入れられないからとか。ショックが大きいのも受け入れられていないのも「その家族」であって、本人はどう思うかなんて別なのにねぇ。

 

結局本人が知らなければホスピスは受け入れしてくれないから、そのまま告知しないで療養に転院。療養だと看護師の人数も少ないし、厳密な持続点滴の管理ができないからって麻薬を貼用型に切り替えたっていう話だった。しかもモルヒネ1A+生食38ml を時間2mlで静脈点滴していたのをフェントステープ1㎎に切り替えたらそりゃ、痛みがでまくるのは当たり前でしょう…血中濃度が全然ちがう(少ない)じゃん。

 

呆れてものが言えない。医者にも家族にも。そして一番つらいのは患者さん…。何も知らされず(多分本人は気が付いているけど)家族は気を使っているのかもしれないけど、全てが痛すぎる…。

 

夜勤中に患者家族から「すいません、痛みが強いって言っているんです。またモルヒネの注射に戻せないんですか?」って何度も言われる私…。看護師は麻薬処方できないです…。そしてなんと週末で主治医不在。泣きまくる家族…。「なんでテープの麻薬になっちゃったんですか?」って、えぇ~、家族はその理由聞いていないのないのか~い(汗)もう夜勤開始時から私もくじけまくり。

 

患者も患者家族もこれからの時代はちゃんと自分である程度情報収集して…自分のことだったり身内のことだったりするんだからさ…。全ての医者が優秀で、どこの病院でも同じレベルの治療が受けられると思ってはいけない。セカンドオピニオンを受けたり(ちなみにある意味自分の限界を知っている医師は結構すんなり紹介状を書いてくれる)ちょっとでもおかしいと思ったら病院を変えることだってできるのに…。

 

それにさ、医師もそうだけど、退院調整をしている退院支援ナースやらソーシャルワーカーもさ…患者さん自身に告知することのメリット、デメリットとか、そこまでちょっと知恵を貸してあげても良かったんじゃないの?

 

これは私が言っていいのか悪いのか知らないけど、それが果たしてよかったのかどうかは分からないけど、もう私も今の病院との雇用契約(私は今の病院で短期派遣契約で働いているので)があと1か月で終わるので、昨日こっそり患者家族に教えてしまいました。ご本人に告知をしていないことによる弊害がありますよって。娘さんは「そんなことがあるなんて知らなかった、今からでも告知して注射に切り替えてもらってホスピスも検討したいです」って言っていたけど…。いやいや、その前に患者さん、体力もつかなってもうそういうレベルです。

 

その前にフェントス増量+アンペック座薬あたりを検討してください、先生…。ベースを何とかしろだよね…(汗)ホスピスはホスピスで入院費用はかなり高額になるので、もしホスピスを検討してってなるとその次も難題が家族に押し寄せるんだろうけど…。空きがない場合もあるしね。

 

私だったら家族にそんなことされるとしたら…いやいや、そもそもその前にちゃんと調べて転院させていると思う。よく言われるのは「貴女は看護師だから、医療の知識があるから」ってそういう問題じゃなくてね。一般の人でもものすごく詳しい人はいるし、しっかり自分で調べている人もいるし、医療従事者だって患者家族にむしろ指摘されることだってありますよ…。ちゃんとネットから資料ダウンロードしてきて、医師に質問したり、メモを取ったり、レコーダーで病状説明内容を記録している家族だっていますから…。

 

今の世の中、丸投げは本当に危険です。誰かが自分を、自分たち家族を救ってくれる、もうそういう幻想は捨てよう…って強く心に誓った出来事でした。

 

さて、話は変わりますが、今日は夫の女子医大の受診の日です。造影MRI後の診察になります。8日には夫だけ先にS県に戻るので、東京は最後になるんだなぁ。何事もありませんように…。