先日はバレンタインデーでしたね。
 
私は女子から男子へチョコレートをあげるというあの行事が苦手でして、むしろ普段頑張っている私に何かくれたほうがいいんじゃない?ということでそういった行事は一切無視しています。「義理チョコ」とかバブル時代の残していった死語だと思っているのは私だけではないはず…。
 
夜、ふと思い出したように夫に「今日バレンタインデーだったね、チョコ買ってなくてごめんね」と言ったら、「俺は大丈夫、もう大人だから」と言われた。
 
私:「え?なに?小児の頃は欲しかったワケ?」
夫:「若いころはな…」
 
え?ほしかったの??だっさ!(レイチェル心の声)
 
バレンタインデーの前日に入院してきた患者さんがいて、私がその入院を取ったんだけど、一緒に付き添いで来ていた旦那さんが夜急変して亡くなった。
 
患者さんは手術を受けるための予定入院だったんだけど、70代でそれなりのお歳。車で送ってきた旦那さんもそれなりのお歳。廊下を歩いて部屋に案内するときなんか二人とも歩く速度が遅いしフラフラしている。
 
入院した奥さんの方は入院後すぐに39度台の熱発。話を聞くと二世帯住宅に住んでいて、孫の送り迎えは老夫婦の役目らしく、ここ数日夫婦そろって風邪気味だったとのこと。私はすぐに「小児にインフルエンザうつされているのでは?」と思って奥さんにインフルチェックを受けてもらった。結果は消化器の炎症からくる発熱だったんだけど、旦那さんも風邪っぽいって言っていたから大変だね~、とか、優しそうな旦那さんだね~、なんて奥さんと話をしていて。奥さんはちょっと嬉しそうに「でもあぁ見えても頑固で一緒に生活しているとイライラすることもあるわよ」なんてありがちな世間話をしていた。
 
旦那さんは入院手続きを終えたらすぐに保育園に孫を迎えにいくからと「じゃ、よろしくお願いします」と笑顔で病室を後にして、私も遅番業務に戻った。
 
20時くらいにその患者さんのお嫁さんから電話があって、なんとその旦那さんが帰宅してお風呂に入っている最中に急変して風呂に浮かんでいるのを発見。救急センターに搬送されたとのこと。お嫁さんも医療関係の人だったので「かなり厳しい状況なんです、でも入院している義母にはまだ伝えないでください」と言われ、保険証がどこにあるのかだけ聞いてください、とのことだった。
 
結局その旦那さんは翌日亡くなり、入院中の奥さんに知らせないわけにもかず、お嫁さんが来て状況を説明していった。患者さんは治療のための管をお腹の横から入れていて、熱もあったけど「燃されてしまう前に夫の顔を見なければ!」って必死で管を止めて、点滴のラインをロックして1時間だけ外出していった…。日中は1日中涙をぬぐっていたっけ…。
 
「明日スリッパ持ってくるからな」と笑顔で病室を出て行った旦那さん。「まったくもう、あの人は家のことをやらないから、どこに何がしまってあるのかなんて、知らないんだから」と半ば呆れていた奥さんだけど嫌な顔を見せず。「今生の別れ」そんな言葉を平成の世で知る私。
 
家の夫も空気は読めないし(だから44歳になるまで結婚していなかったんだと思う)、さらに高次脳機能障害でボケボケだし、同じこと何度も聴くし、同じもの何度も買ってくるし(私が何度もここに買い置きがあると言っても目の前になければ買いに行ってしまう)食事作ってくれるのはありがたいけど飽きるほどカレー作るし、ほぼほぼ私が毎日イライラしているけど。
 
犬の面倒よく見てくれるし、優しいところとのんびりな東北訛りが好きで結婚したんだっけなぁ…なんて思いながら、やっぱり私自身の執着というか「ここまでやってきたのに」明日死なれたらちょっと困るなぁ…。脳腫瘍事件がなかったら、もっと関係は変わっていたかもしれないけど。
 
当たり前の明日がくるとは思ってはいけない。去年のフェイスブックを見ても夫と愛犬との楽しい思い出の写真ばかりが載っている。だけど、運命の4月15日、全てが変わってしまう日までのカウントダウン。あーあ、毎年4月は嫌なことを思い出す月になっちゃったな~。