脳腫瘍術後に無事に仕事に復帰した夫ですが。

 

夫の経営するカフェレストランはS県S市にあります。東京から電車で3時間ちょっとです。もともと東北人の夫はサーフィンをするためS市に移住したのですが、今回の脳腫瘍の治療のために私と一緒に都内に越してきました。

 

夫は術後目立った身体の障害はなく、身体的には普通に生活ができているのですが、術後退院して自宅療養になった途端、ちょっと鬱病っぽくなってしまったのです。

 

夫曰く「俺は都会では生活できない」。いわゆる適応障害になってしまって、結局都内で働くこともできず、店もあるからということでS市に戻りました。

 

私は田舎での生活が不便で我慢ならないし、今回の夫の病気で人生は1回きりだということを自分自身でも改めて自覚し、東京で生活することを選びました。つまるところ、病気、治療がきっかけで私たち夫婦は一緒に住めなくなってしまったのです。夫は月の半分くらいをS市で過ごしています。もう私もやることはやって、今後は自分のために生きていきたいので夫の仕事や今の夫の仕事のスタイルに文句は言っていません。

 

さて、以前から脳腫瘍、脳浮腫のおかげでかなり物忘れのひどい夫ですが、ここ最近やっぱり高次脳機能障害が残っている、しかも悪化しているのでは…という私の推測。

 

うちの夫はもともと携帯もずっとガラケーでネットもフェイスブックの閲覧(投稿の仕方は知らない)ユーチューブでサーフィン画像の閲覧くらいしかできなかった人です。最近スマホにして私とだけLINEのやりとりをするのですが、スタンプの使い方もついこの間知ったという。

 

つまり、色々なものが順序立てて、意味を考えて使えないんです。なんでこれはこうなるの?という疑問は持てなくて、目の前にあるものしか使えないというか。言葉も上手く出てこないので説明がちゃんとできないのです。だから窓口とかでももたついてしまうし、人に上手く自分の思うことを言葉にして伝えられない上に確認もできない状態です。ちょっと認知症入った高齢者が窓口で早口の説明を聞いても理解できない、情報が処理できないのと同じような感じなのです。

 

今回私が就職して私の扶養に入るため去年の分の課税証明書が必要になった夫。私は都内の引っ越し先の市役所で、前年度の課税証明書は1月1日時点で住民票のあった市町村で取り寄せるということを確認していたので夫にS市の市役所に行くように伝えました。しかもLINEで文章にして送っているのになぜか夫はS市の税務署に行った上、そこの窓口の人に間違った説明を受けて、今現在住んでいる地域の税務署に行って取り寄せてくださいと言われ、なんとS市からそのまま電車に乗って帰ってきてしまったのです。

 

もう、なんていうか、呆れてものが言えない。すべて全部のプロセスを伝えないと理解できない。自分で思い込んだら間違ったことでも進んでしまう。情報を鵜呑みにする。お店の経営とか、料理の仕方に関しては習慣もあるので忘れないで何とかできるけど、一般的に生活していくすべを全く理解できないのです。電車も最近やっとひとりで乗れるようになったし。これは確実な高次脳機能の一種なんじゃないか…もうキャラじゃないよね。

 

どんどん幼稚園児のように退化していく夫の精神状態。もうちょとしっかりしてほしいけど。興味のないことは全く見えないので、私の緊急連絡先や勤め先も完全に頭から「抜け落ちている」としか言いようがなくて。知ろうという動作すら、彼の頭の中にはないのです。「あーっと、えーっと、あれだろ、れいちゃんは病院に勤めているんだろ?」はい、病院の名前は?連絡先は?夫の頭の中から完全に「脱落」しているので、私は自分に何かあったときの緊急連絡先は母親にしています。