この日は私たち夫婦にとって、結婚記念日よりも忘れられない、衝撃的な日になりました。

 

去年(平成27年)12月末くらいから夫が風邪をひきました。その後も調子が悪く風邪が長引き、いつも疲れているような状態がしばらく…というよりも1ヵ月以上続いていたんです。

 

夫46歳、まぁ、年齢的にも疲れやすいのかなと思っていました。たまに眩暈がするなんて言っていましたが、それも単なる働き過ぎ、疲れすぎなのかなと思っていました。

 

私自身は看護師で仕事が忙しかったり、夜勤が続いたり、とある月は夜勤専従になってみたり忙しかったし、自分も勤務勤務でいっぱいいっぱいだったので、あまり夫の訴えは気にせず、「疲れているんでしょ?」(私も疲れている!)で3か月ほど経ちました。

 

そして運命の4月15日の朝、夫が「最近車を降りる時とか、立っていても眩暈がして2分くらいすると治まるのと物が二重に見える時がある」と言ってきたのです。

 

眩暈だけだったら「疲れているんじゃない?」で済ます私も、さすがにモノが二重に見えるって、脳神経ないんじゃないの?(一応脳外科がある病棟勤務だったもので…)と思い、1時間半かけて一応この辺りでは有名と言われる耳鼻科に連れて行きました。

 

※後々に述べますが、私たち夫婦が現在住んでいる場所はハイパー医療過疎地なので受診は近医と言えども丸一日がかりを覚悟しなければなりません。

 

耳鼻科では左目だけになぜか眼振や頭部を特定の位置、反らせたり、右を向いたりすると眼球が左に戻ろうとする反応が見られ、特にCTは撮らなかったのですが、良性のめまい、耳石の移動によるものなのではないかと言われ、耳石を元に戻す眩暈改善体操なるものを指導されました。(いやぁ、これ、一日3回3セットやるの?←妻、心の声)

 

職業柄、時間があったら脳神経外科にも寄ろうと考えていた私。耳鼻科の医師も「心配なら帰りに脳神経外科があるからCTとかMRIとか取ってもらえば?」と言われていたので帰る途中、ギリギリ午前中の枠で脳神経外科に飛び込みすぐにMRIを撮ってもらうことになりました。

 

さすが脳神経外科、CT通り越してMRIかぁ~、やるなぁ~、でもMRIの方が診療報酬高いだろうし、これで何もなかったらそれはそれで安心できるし…。なんて待合室で思っていた私。

 

MRIの画像が間もなくできて、診察室に呼ばれたとき、ちょうど医師の机の上にレントゲンフィルムを張り付けるシャーカステンがあって、少しの距離からでも大きな脳腫瘍が見えた!!

 

って説明前に見えてるよ、これ!!!

(というのが正直な妻の感想)

 

え?え?え?これ、ちょっと別の人のフィルムなんじゃない??

(医療従事者にありがち、自分のせいでなく物のせい)

 

夫の左脳中央寄りに大きな…腫瘍が…。しかも左の脳室潰れていますよ…(遠い目)

これ、あまりにも見事過ぎて教科書載せられるレベルだよ…。

 

悪い夢を見ている最中に私には「これは夢なんだ!」ってもう一人の自分が途中で自分に言い聞かせて悪夢を強制終了させることのできるという特技を持つ私(これはかなり自慢できる)としては「これは夢だから覚める!覚めるんだ!」と思っても…。

 

まぁ、現実だから覚めないよね…。

 

最初診察室に入っていった時はふんぞり返って、医者だ!って感じの初老の医師も、姿勢を正し、神妙な面持ちで「当院ではこれ以上のことはできませんので、大きな病院を紹介します。今日の午後、これから行けますか?」と言われ、紹介状を書いてもらい、すぐにA市にある大きい病院に行くことになりました。お隣のA市まで約1時間のドライブ…。

 

海岸線は天気も良く、青い海が広がり…そんな気分じゃないよね、私。そしてまさかこのような展開になるとは、愛犬も車に乗せて連れてきてしまったけど、一応社内お留守番のためクーラーボックスにクーリング剤をいっぱい入れてきて正解だった…。

 

そして私たちはA市へ向かうのであった…。

 

続く。