新しくて新しくてピカピカの

買ってきては装備して

買ってきてはつよく見える

交換可能な新しいネジでばかりできた

美しい製品

まるで熟成や時間の経過、儚さとは無縁の

若いからこその元気さ

新鮮で清潔で

解決の必要な綻びも 染み込んでとれない匂いも

新しい製品ですという香りがするだけだ

万人に受け入れられ

自分が世間もろともの視点で自分を大事にするための行為のようだ


ビンテージ

あまりそれにこだわったことも

あえてそれを好んできた事もなかったのだが、


熟成され混ぜられ、時間が経過し、

誰かに使用され、

綻びが手入れされ 傷んでは塗り替えられ

捨てようと思えば一瞬で捨てられたものを

少しの惜しむ気持ちとともに

箪笥の奥に放って置かれたことも

違うお店に譲られたことも

違う新しいものを買うために

使い捨てられるように売られて、

新しい持ち主の手にいくこともあっただろうか。


人はみんなそれぞれに執着を持っていて

欲も恐れも 持ち物に一緒にいる間に

染み込んでいくように

大事にされているものは 

その場その瞬間では生きている

生かされている 飼い主の歴史とともに

苦いもがきも ただの紙一枚にでさえ

何年後に見返しても 刻印されたように

空気を纏っていく

捨てられるまでは

無くなることがないかのように

死ぬまでは 一緒にあり続けるしかない孤独

それを避けるたくさんの恐怖の痕跡。


熟成され ぎりぎり

実がなった果物が甘くなって熟し

綻びくずれ熟しきって終わりを迎えるぎりぎり

あぶないくらいに甘い時間を過ぎて

あと少しで食べられなくなるというような

すいも甘いも味わい尽くして崩れる直前に

絶妙なタイミングですくいあげられ

果物当事者の感覚で寄りそって

思いやられた加熱


熟成され混ぜられ 

時間が経過して 苦しみも安らぎも

共に過ごして刻まれた空気

その香りが 古いのに古さを感じない

どこでも手に入ることのない稀有さ

多くは、

時間が経って まずくなる

混ぜれば混ぜるほど 黒に近づき濁る

どんなに完成した音楽も

一編に混ぜて流すと 聴いてられない

その時間の流れに逆らってはいないけど

ふつうはこうなる の別の世界線へ

因果に 常識に はまらないどこかへ

行くことを成功させているようだ

あえて 多く に逆行

してるというわけでもないだろう


ただ放置されていたのでは

なしえない 熟成


混ぜて混ぜても純粋な優しさ

母性の言葉以上を感じさせる安心感


なにか手を加えたわけではないのに

無視されていたのではない


痕跡と残らない痕跡


安心感 懐かしさ


安らぎ 呼吸が通る


新品ではなし得ない

洗練された古さは

あまりにさりげないような達人の加減なのか