4月8日
願はくは 花のもとにて 春死なむ
その如月の 望月のころ (西行法師)
やっぱり、何といっても、春は桜。満開の桜の下を歩く時の浮き立つような気分。
寒い寒いとコートの襟を立てながら、ぼんぼりに映える花びらを見上げながら歩く時の気分。
古来より日本人はこの花をこよなく愛でてきた。
白でもなく、ピンクでもない。柔らかな花びらが、枝いっぱいにふさふさと着いているさまは、見事というしかない。
先に挙げた、西行の歌。人はいずれ死ぬ。同じ逝くなら、この春の花の満開の時にと私も思う。桜の花の下を歩くときに、いつも思い出す歌である。
しかし、花は散る。ことに、桜の命は短い。
世の中は三日見ぬ間の桜かな
ことほど左様に、花の命は短い。いや、世の中の変化の方が、もっと激しいと昔の人は言いたかったかもしれないが・・・。
何にしても、その散りぎはが、またいいのかも知れない。桜吹雪ともいわれる散りぎはの美しさに、日本人は魅了されてもきた。戦争の時代、若者がさくらのごとく、いさぎよく見事に散ろうと自分に言い聞かせたのもむべなるかなとも思う。しかし
世の中に 絶えて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし (作者を知らず)
早く咲かないかな、いつ頃咲くのかなと、そわそわと落ち着かない。咲いたら咲いたで、もう散ることが心配になる。この時期、確かに、桜がなかったら、もう少し落ち着いていられたかもしれない。
と言いながら、毎年、四季の美しさに恵まれたこの日本に生まれて、ほんとうに良かったと思う。自然を大切にしていきたいものだ。