年末もせまってきていますね
皆様、体調はいかがでしょうか?
今年の12月は寒い
と思えば暖かく、一日においても、日ごとにおいても気温差や気圧の差が激しい月となっています
こんな時期は体調も調整しずらく、痛みなども発症しやすいので、鍼灸を利用いただきますと痛みが改善され、体の調子も整ってきやすくなりますよ![]()
さて、今回は産褥期(出産後6週~8週;1ヶ月半~2ヶ月)の臀部や仙腸関節周辺の痛みについて反省を込めまして、少し書かせていただきます。
産褥期の臀部・仙腸関節周辺の痛みの対応
結果良好例ではないので、私の反省としてストーリーです。
20代の産褥期がそろそろ終わる方が、当院へ臀部・仙腸関節周辺の痛みで来院されました。
当院来院10日前くらいに痛みが発症し近医の整形外科を受診しレントゲン等検査を行ない、特に異常なし。非ステロイド系消炎鎮痛剤を処方。
それでも痛みが改善されないため当院へ来院。
問診から徒手検査など行い、下肢症状や夜間痛などもないため鍼灸適応と判断し鍼灸治療を実施。
鍼灸を行ない、施術後はスッキリしないが痛みは3割ほど改善され帰宅。その後、赤ちゃんを抱っこや、授乳しないとけないので、その他の動作は氣をつけながら、日常生活などは普通に行なってました(痛みはあるけど)。
翌々日、電話があり痛みが戻った感じで大きな変化はないとのことで、もう一度、朝一番で鍼灸治療を行ないました。
ここでもう一度、評価を行ない、若干、腸腰筋にも関連があるということと、局所の循環改善と下行性疼痛抑制も狙った鍼灸治療に変更。
ここでも、痛みは残るが前回より少し良い感じに改善。また変化があったら連絡してくださいと伝えました。
夜に電話があり、痛みが少し強くなり、悪化した感覚があると連絡がありました。
おかしい・・・相談して、もう一度、違う整形外科で検査していただくことにしました。
そこの整形外科にて、レントゲン、CT、MRIなどを行いましたが、特に原因が分らないということで、その病院から、さらにもう一つの整形外科に紹介され、そこで各検査を行ない診断がつきました。
骨盤に小さな骨折と損傷ヶ所がいくつかあり、それが痛みを発症している原因だということでした。
ここ2~3週くらいで起こった骨折だとか・・・
実際、患者さんから医師に説明を受けている動画をみせていただきましたが、左腸骨と左恥骨に骨折を示す信号がありました。
たいへん希な状況だとか。
学)やはり、おかしい・・・、と思ったときは、再度、専門医療機関へ精査をしていただくようススメることが大切だという貴重な学びとなりました。
反省と気づき
問診段階で、ある程度、氣づくことはできなかったか![]()
日本女性内科学会のコホート研究報告によると、妊娠前の痩せている身体(BMI 18.5以下)は、産後2年以内の脆弱性骨折のリスクが高まるということでした。
学)来院前から知っている方でしたので、確かに痩せ型でした。
産後の骨折は脊椎の椎体が多いそうですが、姿勢や授乳との関係もあるとのことでした。姿勢では、妊娠期から産褥期にかけては、妊娠、出産、育児という環境的負荷がかかります。
出産寸前は大きなお腹を抱え、出産という大きな出来事を超えてからは、筋力が弱っているところに授乳や抱っこなどの育児を行なうわけです。それはそれは姿勢にも影響しますし、妊娠前の姿勢なども骨への負担の要因となります。
学)姿勢は側湾まではいかないが歪んでいましたし、骨盤も後傾で骨盤を構成する骨への負担は大きかったと推測。
またリラキシンというホルモンは生理前から生理中にも放出されるホルモンです。妊娠3ヶ月くらいから徐々に量が多く分泌されるようになり、靱帯など関節の結合を緩めて妊娠、出産しやすいように体を変化させるホルモンです。それが産後2~3日くらいまで放出されます。
これも妊娠期や妊娠後の腰痛など痛みの要因ともなります。
今回は問診の中で聞きませんでしたが、妊娠後骨粗鬆症(PLOP)なども考えられるわけです。
産後、骨を保護する働きをするエストロゲンの急激な低下により、骨密度が低下します。赤ちゃんは毎日、母乳を飲むわけです。栄養をしっかりとらないとママに体の中に蓄えている成分(カルシウムなど)から栄養が抽出されるわけです。
そこに遺伝や、もともとの骨密度の低下などあれば骨粗鬆症による骨折も考えられるわけです。
学)確かに母乳育児で、かなり大きいお子さまだとか。
学)1ヶ月くらいは実家で養生し、その後、自宅で育児を行なっていたと、後で聞きました。
姿勢という観点からもう少し言えば、骨盤結合部の不安定性、骨密度の低下、難産時の過度な力(ここも詳しく聞き取りできてませんでした)も考慮する必要があります。
このような知識が脳に刻まれていれば、初見で一つの判断材料として推測することは出来た可能性はあったと自分自身を考察✨
今後に向けての臨床整理
妊娠期の痛みの推測、考察、着眼点を学ぶことができた
鍼灸治療効果を冷静に判断する力の必要性
逆に自分の鍼灸治療を信じる力の必要性
より詳細な症状を聴取する聴き取る力を育む
迅速に適切な医療機関を紹介することをためらわない
効果が出なかった、悪化した場合の患者対応の重要さ
患者のために心身の不思議やまだ知らない知識を学ぶ
ことの大切さ
こんなことを今回の患者さんに学ばせていただきました。
はり師、きゅう師の国家資格を取得して35年。
開業させていただき27年と6ヶ月。
いつも学びの連続でございます。
日々、私を頼ってご来院いただける皆様の体と心と人生に責任を持って、「今」この瞬間の 一鍼 一灸 一押 を精度高いものにしていきたいですね。
患者さんが安心して質の高い生活を送ることができますように、「一生勉強 一生青春」(あいだ みつをさんの言葉)でやっていきますよ
という、さらなる氣づきをいただきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます![]()
