2022年末の動きを書いておきます。
監修会議のあと、出来がよかったからか、俄に三浦先生のご指摘が念入りに入りました。
それは破風の妻壁です。破風はまさに天守の一番目立つ部位であり、建物の性格に大きく影響します。
当初設計の妻壁はこちらです。
意匠の詳細がこちら。
豊臣ゆかりの建物から取り集めて構成していました。しかし、同じ桃山建築でも、黎明期と円熟期では雰囲気が異なるのです。また、瑞巌寺や大崎八幡宮は豊臣の大工の作ではあっても、地方の建築なので、中央ではやらないことをやったり、クセが強いのです。
年末28日から大晦日まで、妻壁の修正を繰り返しました。しかしこの時も、ご指摘はあっても答えは教えてくださらず、結局3パターンを作ったのですが、どれが相応しいかの選択も私に委ねられました。
また、ご指摘を正面から反映させると、寺社建築になってしまうため、それをあくまで城郭建築として消化させるということも難点でした。
そして3案ともOKをもらったあと、悩みに悩んで一つに絞り、すぐに3Dデータの修正に回します。
これでもまだ完成ではなく、特に笈形の形状については最後までなかなか自分でも納得が出来ませんでした。
2月に天守の3Dデータ納品!
そしてここで、現実的な商品としては、細密な天守模型とジオラマの二本立てでは採算が苦しいということで、天守模型の一本に絞られることになりました。ただ、ジオラマのデータは出来ていますから、機が熟せば動き出すこともあるのかも??
そして2022年初5月、プロトタイプのプロトタイプとして3Dプリンターでテスト出力された天守が到着!東京に私も駆けつけました。
おおお〜!!
あら、でもなんか縦に引き伸ばされた感じが‥
データを変換する中で、厚みが重複したりしている箇所があるようです。何ヶ所か確認をお願いしてこの時は帰ってきました。
工場側からも、細部を安全に製品化するには現状より110%したい、と要望が。ならばいっそ1/100にしましょう、ということで、縮尺の変更が決定しました。
そして7月の上旬に最初のテストパーツが私のところへ送られてきました。こちらが出したデータを元に、工場で改めてパーツの分割や組み合わせ部分の加工などが加えられています。
パーツチェックの開始です。
干渉して組み上がらないところや、組み立て上弱い部分などに修正をお願いします。
プロトタイプの完成が少し見えてきました!