一部地域で『週刊 豊臣大坂城をつくる』のテスト販売が行われていました。
書店で見つけられた方おられましたか?
今後、売上などの分析が行われて、全国販売するかどうかが決まります。
全国販売まで行かなかったら‥残念ながら幻の企画となります。
少し情報が入っていますが、いい数字と悪い数字があり、難しい判断となりそうです。
開発に3年かかりました。
紆余曲折があり、消えた構想もあります。数回に分けて、これまでのいきさつを書いてみたいと思います。
【そもそもの発端】
2020年10月に企画の話が舞い込みました。編プロの社長さんから突然の電話、その後すぐにわざわざ工房までお出かけくださいました。お話を伺ったところ、豊臣大坂城の企画が頓挫している、どうにか実現させてほしいということでした。
当時、引き受けるに当たっていくつか条件を出しました。
●完全オリジナルとすること。
できるだけ人様の復元図面は使わない、という主義でやってきましたが、これは一方では著作権の問題があります。もう一方ではモチベーションの問題があります。
つまり、これだけ大きな企画を完遂するには、私のモチベーションを保たなければなりません。人様の復元図面を使うと、納得がいかなかったり、ちょっとした疑問が大きなことになってきます。また、図面を引かれた方とのやり取りが大変になってスムーズに進まないこともあります。そして商品となると、権利が絡み合った場合面倒なことになります。自分の責任でスムーズにスッキリと。
●素材はプラにすること。
これは造形のディティールを優先したい、ということと、商品としての組み立てやすさです。安土城は私も作りましたが、とにかく、あの柱と建具を延々と立てていくのが苦行のようでした。塗装もしてなかったし、一般の方には完成させる難易度の高い商品だったと思います。塗装済みで、組み立てやすく、ディティールがきちんと出る素材としてプラを条件としました。ただ、金型のコストがあるので、内部構造はMDFとして当初は構想しました。
先方からは、監修は三浦先生、という条件が出されました。もちろん快諾です。
なんとなく動き出したのですが、明確な目標としては「プロトタイプをつくる」ことです。
プロトタイプとはいわゆる完成見本です。テスト販売→全国販売の流れですから、テスト販売の時には、完成見本が出来ていないと、マガジンも表紙も、シリーズ紹介の冊子もつくることができません。とにかく「プロトタイプをつくる」ことが企画にとって肝となるわけです。
▲完成したプロトタイプ。島充撮影
とはいっても、私のところに来た段階で、企画は一度振り出しに戻ったわけで、まっさらな状態です。そして、編プロの社長さんはさすがに話しているとアイデアが色々出てくる。
最初に2人で意気投合した形でたどり着いた企画の原形は、「大坂城をつくる」で豊臣・徳川両時期の大坂城の天守と、本丸ジオラマをそれぞれ並べて比較できるもの、ということでした。
一方で、大きな天守模型も捨て難い。こういう案も出しています。
豊臣大坂城の天守は立体化することが決まっているので、そちらの外観設計もすぐに始めました。天守についてはまとめて書きます。
この後、リサーチ会社によるサンプル調査が行われることになります。お城好きの方を集めて、反応を見るのです。続きは次回。
ちなみにこの頃、私は岡山城の天守や、熊本城の被災模型を手がけていました。



