熊本城の骨格が見えてきました | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

ご無沙汰しております。

毎日熊本城と向き合っています。

まだまだ荒削りなままの地面と箱組ばかりですが、おぼろげながら熊本城の骨格が見えてきました。

宇土櫓と天守。

今回は、今までの誰かの研究に基づいてつくっていません。
全て一次史料から、つまり、発掘調査の結果と、古絵図、古写真、この3つのデータをもとに、全ての建物の形を極めて復元的な手法で立体化しています。

本丸内全ての建物を、まず図面にしましたが、これは完成度からすると6割程度で、実際に立体化する中でさらに精度を上げていく方法を取っています。

その上で1/150というスケールと、その模型全体の大きさ(およそ3メートル四方)から、実際に目で見た時に効果的になるように、模型的な表現の強調を加える場所もあります。

(破風板製作前)
例えばこの小広間上三階櫓は、瓦の本数を一本〜2本増やしています。ほんの数ミリですが、軒の出を強調することで、陰影を強めるのです。

これは実際の図面作成でも同じような方法がとられます。厳密な再現は30分の1より大きなもので行うと聞いたことがあります。

コツコツやって着実に進んではいるのです。ただ、とにかく大きい。八畳間がいっぱいいっぱいです。

おそらく私の人生最大のものになると思っています。
こういう大規模なものと向き合うのは初めての上、さっきも書いたように、全て一から、瓦を数える作業を重ねて寸法を割り出したりしているので、とにかく興奮状態が続いていて、本当に人生削っているのではないかと思うような現場です。そういうわけで頭の中は熊本城だけ。ちぐはぐな返事を返してしまうこともよくあり、SNSも控えめになっているこの頃です。

おまけに頼みの奥さんが体調の関係から予定していたように手伝えなくなってしまい…

ずーっとやっているので、こういう下見板も、苦にもならなくなりました。

ただ、瓦地獄と石垣地獄が待ち構えていると思うと少し気が滅入ります。

丸瓦はいつものようにプラストラクトの半丸棒。
これは大量に取り寄せました。アメリカのメーカー在庫の実に半分の量、300袋が今手元にあります。一袋900円くらいするのです。
実寸に直すと実に100キロメートル分の丸瓦です。これで足りるやら足りないやら。

同じように他のプラ材も大量に。

追加すれどもどんどん無くなっていく…
今までに経験のない規模なので、どれくらい要るかも目算が立たない状態です。


古写真と同じ景色が少しずつ見えてきています。

古写真に無いアングルからも見ることができるようになります。

いろいろ発見もあり、早く公開したい!
けれど、本になるまで私も待たねばなりません。自分より早くこの事に気付いて発表されたらどうしよう!なんて気分になることもあるのですが、こんなに細かいところまでこれだけの膨大な一次資料を元に考えることができているのは、もしかすると自分だけかも??なんて気にもなったり。

執筆の方も8割方終わり、一時原稿を出すことができました。

無理をせずに進めていきます。

また区切りが来たら更新します。