天秤櫓⑧〜粗塗りとジオラマ製作開始 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

天秤櫓に色が入りました。
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造形完了時の画像を何枚か。
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軒の隅はほんのわずか反りをつけています。ほとんど直線でできている無骨な櫓ですが、この軒の隅のわずかな反りが柔らかな印象を作っています。
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天秤櫓は簡素でありながら変化に富んでいます。左右の櫓は棟の向きが異なっていて、左右対称ではありません。
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天秤櫓だけで鬼瓦の数は32。同数の鳥衾の取り付けもあります。納め方が出来に直結する出隅が14ヶ所あるので、気を使う製作でした。
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粗く彩色したところです。白壁へのはみ出しや塗料のハネなど細かい修正をして完成となります。
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天秤櫓の屋根は天守よりも古色を出しています。
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本物の天秤櫓の屋根です。
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同じく。
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模型との比較。
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屋根瓦だけ300分の1なので、比較するとその違いがよく分かります。

プラモデルの天守と並べてみました。
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プラモデルと表現の質を揃えつつ、プラモデルよりは立派に。今回のジオラマの価値はやっぱり天秤櫓にあり。天秤櫓が魅力的でないとうちに頼んでいただいた意味がありません。



そろそろジオラマに取り掛かりますが、今回は本当に難しい!

ご注文のご指定が、50センチ四方に天守と天秤櫓、ということなのですが、Nゲージのレイアウトに組み込むということなので、山を切れ目なく納めなければなりません。
50センチ四方のベースに建物を置いてみると…
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難題ですね。
これでも天秤櫓は大きさをかなり圧縮しています。

こういう時は現場で作っていきます。
まず山の芯となる断熱材を積み上げ、
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上から切り込んでいきます。
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これでも難しそう…

「狙ったところに思ったとおりにピッタリ投げられる」のがプロなのでしょうが、久しぶりに頭を抱えそうですね。

天秤櫓も思いっきり圧縮したように、はじめから厳密なものは求められていません。太鼓門櫓もバッサリ間引いて、曲輪の形もそのままというわけにはいきません。それでなおかつ「彦根城らしさ」「天秤櫓らしさ」を損ねてはいけません。

さてこの難題ジオラマがどう納まっていくか、とくとご覧あれ!