安土城 南殿をつくる【プラ板での入母屋建物の作り方】① | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

妻の安土城です。
石垣の塗装は途中から本人がやりやまして、こんな感じに。
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植栽も始まりました。
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御殿が欲しい!と言い出しましたので、この際にプラ板での入母屋建物の作り方講座も兼ねて、簡単に南殿を作ることにしました。

まずは図面を用意します。
オーソドックスな主殿建物として、中門廊つきの殿舎として光浄院の客殿を基にしました。
平面図、立面図があれば製作可能です。断面図もあれば少し便利です。無い場合は自分で図面を引きます。
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縮小コピーして、だいたいの大きさを確認。
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まず平面図から0.3mmのプラ板で床面を切り出します。落ち縁が一段低くなるように、0.5mmで部屋部分と広縁部分を切り出したものを重ねます。
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次に壁面。高さは、軒裏の二重構造を無視して、床面から屋根面までになります。
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次に柱や長押を貼り付けていきます。
それぞれの部材で厚みが異なりますので、建具の凹凸まで考えて、プラ材の厚みを決めましょう。
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今回は壁面に向かって外側から長押0.5mm厚、柱0.38mm厚、外側の建具0.2mm、内側の建具=壁面水準としました。(厳密には外の建具と壁面が同じラインなので、こだわる方は壁面をもう一枚貼ってください)
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最近は畳の部屋も少なくなり、壁も壁紙になったりして、日本家屋の部材の名前などに馴染みが無くなってきていますね。障子や襖もどちらが手前になるかということも、もはや常識ではないようです。
ちなみに建具は、向かって右側が手前になるように立てます。漢字の「入」の字で覚えるとも聞いたことがあります。右の長い払いを上から、あとから書きますね。

建具と柱、長押を取り付けて壁面の完成です。
今回は築城後間も無く消えた安土城ですので、白木の美しい殿舎として製作します。
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次にいよいよ屋根。入母屋の製作は難しそうですが、コツを掴めばスムーズにつくれます。ここからは図面をフル活用します。

図面を見ると分かりますが、屋根本体の傾斜(赤ライン)と妻の反り(黄色ライン)は異なります。
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まず、屋根本体の反りのガイドを製作します。屋根材の厚みだけ残して図面を写し取り、切り出します。
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これを先ほどの壁面の上に並べます。
一番外側は、断面図や立面図から、妻面の一つ内側になるようにします。あとで妻面の壁面を作って接着するからです。
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次に屋根の幅。
図面に合わせて、棟から軒先までの幅を切り出します。
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次に長さ。立面図から軒の長さで切ります。
そして、先ほどの妻面のガイドのラインを垂直に書き込みます。
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次に妻面下部のラインの延長と屋根面の交差した点から軒までの長さを写し取り、そのラインと先ほどの縦のラインの交差した点から屋根の隅までを結びます。
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これを切り出します。
今回は中門のついた変形屋根なのでさらに加工を加えています。
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指で曲げて反りをつけます。
屋根の流れ方向と軒の隅に向かっての二方向に反りをつけます。
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これを先ほどのガイドに貼り付けます。
外側のラインが妻の壁面のガイドとぴったり合っていますね。
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棟の部分は少し隙間を空けます。
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この隙間もプラ材で埋めます。あとで棟瓦が乗ります。
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ここで軒の反りの確認をします。
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今日はここまで。