写真のやり取りではとてもご満足いただけているようで、ありがたいことです。貴重な製作の機会を与えていただいたことに深く感謝しています。
7尺を1間としていると言われる天守の一辺はおよそ5cmです。
使用キットはDX広島城、DX姫路城、スタンダード名古屋城、スタンダード大阪城(以上童友社)熊本城、小倉城(以上フジミ)です。これだけ並べましたが、熊本城からは唐破風を二つ、大阪城からは千鳥破風を二つ取っただけです。
今回の模型は、ご希望により復元模型仕様で、絵画的な仕上げにしています。
宮上茂隆氏の図面をもとに、かなり忠実な立体化をすることに成功しました。既存キットの切り貼りでここまでできたことに自分でも素直に驚いています。
ただ、軒の反りや大入母屋の破風面の大きさ、三重目の梁行が東西半間ずつ狭いなど、既存パーツに左右され、厳密な立体化が出来なかった部分もあります。
そもそもの縮尺が、457分の1という中途半端な数字になったのも、屋根パーツありきで始めたのが原因です。
石垣の高さも、本丸図の数値に出来る限り近づけました。内堀水面からの石垣は模型の見栄えからほんの少し高めにしています。
今回の模型は、ご希望により復元模型仕様で、絵画的な仕上げにしています。
ご依頼をいただくと必ず初めにお伺いするのが、模型の大きさと、仕上げ方です。
仕上げ方には二つの方向があり、汚しや陰影を入れた臨場感のあるリアル仕上げと、汚さず、陰影も入れず、綺麗に仕上げる方法です。分かりやすく言えば、写真的表現と絵画的表現の違いです。
これは下地のやり方や植栽のやり方など根本的に変わってくるので、初めに聞いておかねばなりません。
以上は見た目、表現の「様式」の方向性の対極です。
もう一つ模型の方向性には再現する「内容」の対極があり、図面や現実に忠実なものと、そのような実状を離れ、創作やアレンジを加えたものとの違いがあります。
この組み合わせだけでも4つありますから、つまり、
図面に忠実、かつ写真的
(例 飛雲閣)
(例 豊臣大坂城)
創作・アレンジ、かつ写真的
(例 豊臣大坂城)
創作・アレンジ、かつ絵画的
(例 安土城)
他にも、古写真に忠実にしてみたり、
全部同じに見えるよ!という方もあるかもしれませんが、毎回、作り始める前に、テーマと表現方法をきちんと自分の中で明確にしておかないと、完成段階で統一の取れない作品になってしまいます。
内容も忠実正確なものから全くの夢想、架空のものまで、幅広くあるのです。
最近妄想しているのが、「あなたのお城作りますプロジェクト」で、縄張りも天守のデザインも、全く架空の、お一人お一人の理想のお城を模型にしますよ、というものです。
正保城絵図とか、忍者が敵国の城を急いで書いた下手なメモ書きみたいな程度の図面をもらって、現実的な城の模型を作ってしまうという。
需要あるかな。
それはさておき。
次回作は…
大坂城のシリコンの凝固中にここまでつくりました。
1から製作とこの櫓についての記事をスタートいたします。