アクリルガッシュとは不透明水彩のアクリル絵具のことですが、とにかく色んな素材に塗ることが出来ます。ガラス、金属、布、プラスチック、木…。そしてそのマットな仕上がり。ツヤが全くありません。水彩絵具なので、筆と水で全ての作業が行えます。乾くと耐水性になります。不透明ですので、下地を完璧に隠してくれますし、水で薄めれば重ね塗りもできます。乾く前に別の色をのせるとぼかしもできます。
色の種類も豊富で、今回使ったのはターナーのジャパネスクカラー和シリーズ。
日本の色彩感覚は独自の細やかさがあり、このシリーズを使うと、簡単に日本の色が出てくれます。
杮葺きの表現に、モデリングペーストとアクリルガッシュを混ぜ合わせたものでモールドをつけています。
はじめは日本画の顔料をマッドメディウムで溶いて塗ることも考えました。
これは私の趣味の日本画で、とあるお寺さんの蓮池図を描いたものです。
マッドメディウムも幅広い素材に定着するので、日本画の顔料での塗装も可能かもしれません。
情景師のアラーキーさんが、ジオラマは立体絵画だと著書の中でおっしゃっておられましたが、塗装における色彩感覚は大切にしたいのでもっと感覚を磨いていきたいです。
ちなみに、飛雲閣の模型ですが、ほとんど世の中に存在していません。これだけ魅力的な建物なので、どこか模型化してくれるといいのですが。
本格的な模型は、明治43(1910)年に開催された日英博覧会に出されたものがまずあります。(「幻の建築模型」より拝借)
ご覧の通り、内部まで作ってあります。現在は行方不明だそうです。
こちらは京都市の元職員の方が、7年(!)がかりで製作されたものだそうで、こちらも内部までしっかり再現してあります。今回の模型製作でも参考にさせてもらいました。
現在私が確認している飛雲閣の模型はこの二例ですので、もしかすると今回の模型は、史上三作目ということかもしれません。同列に並べるのはおこがましいですが。