豊臣大坂城【表御殿】 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

表御殿の製作です。

今回の悩みは御台所です。
平面図を見てみますと、
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南北に長い長方形の平面ですが、宮上氏は↓
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なぜか東西棟での復元です。

土手内氏、石井氏の考証では↓
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平面のまま南北棟です。

うーむ。
宮上氏の復元では、当然妻が高くなりますので、このように遠侍や対面所より高い屋根に。
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なぜに?

宮上氏があれほど拘られた夏の陣図屏風を見てみますと
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台所の場所にある建物は南北棟。煙出しがありませんし檜皮葺のようですので特定はできませんが。

冬の陣図を見てみますと
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東西棟。これが根拠か!?
それとも、建築様式として、よく似た形態である禅宗寺院の庫裏(台所)は妻入りが多いので、それを優先したのでしょうか?

それにしても冬の陣図屏風はあなどれません。表御殿の並びはかなり忠実です。唐門もあるし、本丸に入り込んだ水堀も描かれています。

もうひとつ、奥御殿もそうでしたが、台所が入母屋の屋根です。私はどうしてもこのような台所を思い浮かべてしまうのです。
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(妙心寺大庫裏  Wikipedia より)

切妻がスタンダードでは?
いろいろ考えていましたが、恐らく根拠はここでしょう。
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妙法院の庫裏です。妙法院といえば、方広寺と関係が深く、この庫裏は秀吉が大仏の千僧供養の際に台所として建てたと伝わる、桃山期の建築(国宝)です。珍しい入母屋の庫裏として有名です。

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(画像は全国文化財建築探訪様より拝借)

しかも、この庫裏、桁行より梁行が長いようです。
悩みましたが宮上氏の復元の通り作ります。

まず、平面に合わせて適当な屋根のパーツを探し、並べます。
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つなげます。
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千畳敷は後ほどじっくり作るのでその部分は空き地。

壁面立ち上げ。
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ご覧の通りかなり大雑把です。3㎜角のプラ棒を使用。

屋根を取り付けて概形ができました。
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塗装して出来上がり。
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今回、御文庫は省略しました。他もデフォルメした箇所多数。御書院への廊下も後日作ります。

次回からは千畳敷の製作です。