辻野弥生「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」
去年、映画「福田村事件」を見た後に図書館で予約して、やっと順番が回ってきた。
1923年9月1日に関東大震災が起こり、朝鮮人が井戸に毒を入れたとかいうデマが起こり、朝鮮人を虐殺する事件が各地で起こった。
香川県から行商に来ていた一行が千葉の福田村で方言のせいで朝鮮人と間違われ、村人が寄ってたかって暴行し殺してしまったというのが福田村事件。
事件の内容についてだけでなく、朝鮮人差別やデマが広まった背景についても詳しく書いてある。
当時は韓国併合により朝鮮半島が日本の統治下にあったが、独立運動やデモが起こり、そのような朝鮮人に対して弾圧したり差別する動きがあった。
それで震災のゴタゴタを利用して朝鮮人が反乱を起こして放火しているだの井戸に毒を入れただのというデマが広がったのだが、それで「朝鮮人は殺してもいい」という考えに行き着くことの恐ろしさ・・・
福田村事件以外にも日本人が間違われて殺された事件は他にもあったという。
（日本人が殺されたからひどいというのではなく、何人であろうと訳もなく殺していいはずがない）
フェイクニュースとかネガティヴなことほど早く広まりやすいとはいうけど、今の時代はデマの伝わり方がずっと速いし、間違ったことを信じて人を差別したり傷つけたりしてしまうことは起こりやすいのではないか。
それにしても集団心理というのは恐ろしい。
福田村事件は長年忘れ去られていたが近年になって犠牲者を追悼する動きが出てきたらしいのだが、こういうことを忘れてしまっては過ちが繰り返される恐れがある。
災害時のデマ、集団心理、差別など、大事な教訓にするべき出来事だと思った。
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