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前田浩明のラボ (別室)

オリジン生化学研究所 所長
ただいまコーヒーブレイク中

 

ドイツにフィトセラピーと呼ばれる薬用植物を用いた治療法があります。

AMC(ドイツ薬事法)では、

ホメオパシーと並んで特殊療法の一つに数えられ

ドイツの保健衛生制度において

特殊な位置を占めています。

 

フィトセラピーは、いわゆる伝統医療の一つで、

補完医療的位置づけと言えます。

 

香味野菜のほとんどは食用の薬用植物です。

そしてこれらの野菜の魅力は言うまでもなく、

その香りにあります。

 

エスニック料理を好んで召し上がる方は、

その美味しさを楽しむと同時に

フィトセラピー的効果による癒しの魅力を

感じていらっしゃるのではないでしょうか。

 

食を楽しみながら健康の維持増進を図ることのできる香味野菜、

およびそれらを使ったエスニック料理は、

今後ますます日本人の食生活の中に広まってゆくことが想像できます。

 

 

オリジン生化学研究所

前田 浩明

 


 

 

アブラナ科にも、わさび、クレソン、西洋わさび等香りの強い野菜があります。

香りの成分はイソシアネートと呼ばれる成分です。

 

わさびのイソシアネートについては、発がん抑制作用が、

クレソンのフェネチルイソシアネートについても、発がん抑制効果があると

考えられています。

 

クレソンについては、その食頻度が高いニュージーランドのマオリ族が

赤身肉、アルコール摂取量が多く肥満の頻度が高いにも関わらず、

他のニュージーランド人に比べて

大腸がんの発生率が低いことからその作用について

研究が進みました。

 

これらの成分は、直接的な薬理効果と

香りと自律神経との間接的相乗効果で、評価されるべきでしょう。

 

なおかつ、通常わさびや西洋わさびは薬味として使われ、

クレソンは付け合わせとして用いられており

大量に摂取されてはいません。

 

やはり、イソシアネート類においても程々の摂取量を守るべきだと思います。

 

栄養素が人に与える影響で、

不足する場合は栄養失調になりますが、

多くの場合、補うことによって速やかに回復します。

 

しかし、過剰摂取の場合は、回復に時間がかかり、

深刻な栄養障害につながりかねません。

 

近年、●●健康法と称して

1種類の食品を大量に摂取することを奨励する風潮がありますが、

これは慎むべきです。

 

香味野菜の香りの成分は、

化学構造的にも作用性が強いと思われますし、

香りもまた、程々が最適です。

 

次回、最終回へと続きます。

 

オリジン生化学研究所

前田 浩明

 


 

最近最も人気が高い香草野菜はパクチーです。

中国料理、タイ料理、インド料理、ベトナム料理など

アジアを中心として広く世界中で用いられている香草です。

 

日本料理に用いられる食材ではないため、

入手が困難でしたが

エスニック料理ブームによって生のパクチーの需要が増加し

栽培面積も増えて入手しやすくなっています。

 

茎派には独特の香りがあり、

極端に好みが別れます。

しかし、これだけ世界的に広く使われているということは

やはりこの香りを好む人の方が多いのでしょう。

 

また、食経験の浅い日本人に短期間の間に広く人気が出たことも

この特徴ある香りの魅力を物語っていると思います。

 

パクチーの香りの成分はモノテルペン類のピネンやリナロールなどです。

薬理作用としては、炎症の緩和

香りの作用としては、精神安定作用が伝承されていますが、

ヒトに関する科学性のある学術的な報告はありません。

 

とはいえ、私の持論ですが、広く、長く食べられている食品は、

美味しいだけでなく、必ず体にいい働きをします。

 

パクチーの場合も必ずその作用が明らかになるでしょう。

 

一方で、比較的パクチーを多く用いるタイ料理やラオス料理においても、

パクチーをメインとするようなパクチーサラダなどの料理は存在しません。

 

あくまでも薬味として扱うことが基本で、

食の安全が習慣的な経験によってのみ評価されるならば、

パクチーのモノテルペン類の有効性についても適量があるはずです。

 

 

つづきます。

 

 

オリジン生化学研究所

前田 浩明