
・近きより遠きが美声夕蛙
句会などで、これは月並み俳句ですね、と言われることが。
月並み俳句は只事俳句とも言われますが、もともとは正岡子規
が称したもの。
ちなみに、 正岡子規が月並み俳句としたのは、次のような俳句
をさしています。
*感情に訴えずに知識に訴えるもの
*意匠の陳腐を好み新奇を衒うもの
*言語のたるみを好み緊密を嫌うもの
*使い慣れた狭い範囲の語を用いるもの
*俳諧の系統と流派を光栄とするもの
こうしたことから派生して、現在では、陳腐で新しみのない俳句
のことを指して言うようになりました。
初心のころには、指導者や先輩から、よく言われたものですが、
十七音にまとめるのが精一杯のころでしたので、理解に苦しむ
ことも。
要は、先達の句に、すでに同じような景や表現があるということ。
使い古された言い回しをしているということ。
それらを乗り超え、一歩新しさを出さなければ、選句して貰えな
いということになります。
この月並み俳句から、抜け出すのには、どうしたらよいのであろ
うか。
この点については、特別に秘策となるようなものは、ないようです。
作句の一つの態度として、よく観察し、見たままありのままを描き
なさいと、よく言われます。
結局、そのようにした結果として、 ありきたりではない、それ以上
のものが見えてくるまで、 時間をかけ、 地道な観察を続けるとい
うことしか無いようです。
掲句の原句は、次の通り。
・田蛙の啼き始めたる夕べかな
↓
・近きより遠きが美声夕蛙
そのほか、次のように。
・朋の訃の金雀枝揺るる昼下がり
↓
・朋逝きぬ金雀枝揺るる昼下がり
・大軍の押し寄するごと山法師
↓
・逆波の寄せ来たるごと山帽子