FIRチャンネルデバイダの作成【18】パラメトリックイコライザ
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今回はパラメトリックイコライザ(PEQ)を搭載していきます。
え、せっかくFIRで位相回転しない仕組みなのに・・・と思われるかもしれませんが、
どうしても、低域、特にバスレフが鳴る領域については、多少のブーストをかけて、低域をカバーしたく、、、
とか、部屋特性にあった、調整を行うなど、やはり使いたくなるものです。
パラメトリックイコライザ追加
さて、また回路を変更していきましょう。
今回は、回路の後段にPEQを追加していきます。
ASRC直後の前段に置いて、全体を調整する方式もできますが、低域ブーストを考えると結構GAINを下げる事となるので、私は後段に実装しています。
まず、いつもの通り挿入場所の配線をカットして、
GAINコントロールと、PEQを挿入します。
PEQは、ToolBox → Filters → Second Order → Double Precision → No Slew → Parametric EQにあります。
後段に実装するので、ドラッグ&ドロップ後8Ch化します。
チャネル毎に個別に実装することももちろん可能です。
ざくざく配線!
なんか、すごそうになってきました!
パラメトリックイコライザの設定
ここは、あくまでも私の実装の例です。
低域ブーストをかけていきます。
まず、机上計算していきます。
こちらのサイトを参考にさせていただき、
自分のウーハーユニットのバスレスの状況を確認します。
※別途実測でも同じような結果がでていることも確認しましょう!!
私のウーハーユニットは、
こんなのを使っています。
エンクロージャ容量は56Lで、ポート長が約50cm。
このデータから計算を行うと、
こんな感じ。
赤枠の部分が、だらだら下がっていくので、ここを補正していきます。
ここをクリックすると、PEQの設定画面がでてきます。
私はここで、以下のような設定をしました。
Fq=25Hz
Q=1
Boost=15db
先のバスレフ計算の結果に合わせて上方に補正する設定です(多少強め・・・)。
あわせて、この設定では、最大15dbの上昇が発生するので、前段のGAINを、-15dbしておきます。
これで完成です。
いつもどおり、DSPへの書き込みを行いましょう。
これで、低域補正完了です。
実際には、ポート共振周波数以下は、どうやってもだだ下がりなので、まあせいぜい、24〜25Hzくらいまでしか補正できませんが、25Hzあたりが聞こえるのと聞こえないのではだいぶ差がありますので効果十分です。
位相ずれについては、低域の補正だけなので、補正領域(〜60Hzくらいまで)が多少遅れる方向に動くだけなので、全体としての位相変化はあまり気にする範囲ではないと、勝手に判断しています。
気になる方は、PEQは使わないという判断もありでしょう。