本番はもう少し事情を使って丁寧に当てはめ、論理展開をしていますが、参考にはなるかと思います。
また、設問3の請求の根拠条文が不当利得なのか、法定代位なのか悩んだ結果、法定代位にしてしまいましたが、おそらく不当利得です。
民事系科目第1問
第1 設問1
BのAへの本件売買契約(民法(以下省略)555)に基づく50万円の代金支払請求は認められるか。
Aは松茸引渡債務との同時履行の抗弁(533)を主張しているところ、これが認められると、請求は認められない。同時履行の抗弁は認められるか。
1 まず、引渡債務はAの引き取り行為が必要なところ、引き渡し準備をし、電話で連絡をして通知して、弁済提供(492,493)している。そこで、その効果として同時履行の抗弁権が奪われないか。
この点、同時履行の抗弁は債務の牽連性を趣旨としているところ、弁済提供では牽連性は解消されず、同時履行の抗弁権が奪われるとすると反対債務者にとって酷なので、解除ができるだけで同時履行の抗弁権自体は奪われない。
2 次に、松茸は既に特定(401-2)されており、帰責性なく反対債務が消滅している結果、損害賠償債務(415)に転化することなく牽連性が解消され(534条2項,1項)、同時履行の抗弁は認められないのではないか。
(1)まず、松茸は種類物にあたるところ、特定されているか。
ア. 特定には、相手方に支配権が移ったといえる事情が必要なところ、準備通知に加え、分離まで要すると解する。
イ. 本件では箱詰めで分離までなされている。
ウ. よって特定されている。
(2)では、松茸滅失に関してBに帰責性はないか。
ア. まず、上記の通り弁済提供なされているので、その効果として、Bの負う善管注意義務は軽減されている。そこで、滅失に関して重過失がある場合、帰責性が認められる。
しかし、本件では、Bがカギを厳重にかけ忘れたわけではないので、Bに重過失はない。
そうだとしても、履行補助者を使っている場合、その報償責任として、履行補助者の重過失もしくは選任監督における重過失も、信義則上、滅失に関しての重過失とみなす。本件では、当然に履行補助者が使われることが想定されていると考えられるので、715条との関係から、選任監督における重過失があった場合のみ、信義則上、滅失に関しての重過失があるとみなす。では、Cについての選任監督に重過失があるか。
イ. 本件では、盗難が相次いでおり、保管物も高級松茸ということで、保管に関して厳重に鍵をかけるよう履行補助者に指示する義務があった。そして、Cは通常のカギしかかけていないが、Bは上記指示をしている以上、重過失はない。
ウ. よって、帰責性はない。
3 以上より、牽連性が消滅し、同時履行の抗弁は認められない。
4 したがって、上記請求は認められる。
第2 設問2(1)
EのDへの、丙土地所有権(206)に基づく妨害排除請求権としての甲トラック撤去請求に対し、Dは所有権留保売買契約に基づき、Dは占有を基礎づける管理処分権を失っていると主張しているところ、これは認められるか。
1 まず、所有権留保売買契約は、管理処分権のない所有権が売り主に残り、管理利用権だけ買主に移る契約で、買主が代金支払いを怠った時に、売り主に処分権が回復する関係で、完全な所有権が売り主に復活する契約と解する。そして、管理処分権がない以上、甲トラックをもって占有するということを観念できないので、代金支払いを怠るまで、撤去義務は生じないと解する。
2 本件では、甲トラックにつきDに制限付き処分権が残る所有権留保売買契約が結ばれている。そして、買主Aは代金支払いにつき遅滞がない。そうだとすれば、Dには制限所有権しか有さず、未だ撤去義務はない。
3 よって、正当と認められる。
第3 設問2(2)
そうだとしても、登録名義がDに残っている(道路運送車両法5-1)以上、撤去義務を負うのではないか。
1 この点、売買契約がなされたからといって、常に撤去義務を負わないとすると、簡単に撤去義務を免れることができる上、通常請求者は本来の所有者・利用権者を特定するのは困難なので、請求者にとって酷となる。加えて、登録制度がある場合、所有権の取得の場合の対抗要件の議論と同様、所有権・利用権を失う場合においても、登録名義が移転しない限り、その喪失を第三者に対抗できないと解する。
そこで、登録名義が残存している場合で、本来の所有者利用権者を容易に特定できる事情がない限りは、所有権・利用権の喪失を第三者に対抗できず、撤去義務を免れられないと解する。
2 本件では、Aは所在不明で、登録名義がDに残っている。
3 よって、Dは撤去義務を負い、請求は認められる。
4 なお、登録を移せない所有権留保特約を結んでいるにも関わらず、Dが撤去義務を負うとしても、売主買主の問題なので、Eとの関係では問題とならず、請求は認められる。
第4 設問3
FはGに対して、いくらの金額を請求できるか(500条)。
借入金債務は分割債務であるところ、原則、法定相続に基づき分割される(427,882,896)ため、1:1の割合で150万請求できるとも思える。
しかし本件遺言の存在から、遺言内容がHへの遺贈(968)で、FGについては割合指定(902)の場合、相続人間では債務も割合に応じて負うことになるので、遺言内容が問題となる。
1 この点、遺言の被相続人の最終意思の尊重という趣旨から、文言から合理的意思を推認して内容を確定させる。
2 まず、Hについては廃除(892)の意思を変えるつもりはないとの文言から、廃除は受遺能力は失わないことから、遺贈と考えられる。
次に、FGへの遺言は、遺贈分の除いた全財産について、金額を指定し、「させる」という文言があることからも、金額の比での割合指定をしていると考えられる。
3 よって、FGは2:1の割合で相続し、その割合で債務も負うこととなる。以上より、100万につき請求できる。