友人の母が亡くなった。
通夜に参席しようとしたが、
供花供物はお断りだったけど、
何かをと思い、ミルキーに決めた。
スーパーに行ったけど
袋詰めのパッケージしかない。
通夜時間は迫る。
不二家のHPを検索すると
通夜会場から遠くない直営店に
缶入りが置いてあった。
ブラックスーツに着替えて
ミルキーを二缶買い、
一缶を車に置いて会場で
彼にお悔やみの言葉とともに
ミルキー缶を渡そうとした。
お礼の言葉を彼は述べ、
ミルキー缶は横に立っていた
彼の小学校の娘にインターセプトされた。
そこで事態は急展開した。
横にいてその光景を見ていた
彼の姉(私と同級生)が
「私も欲しい!ミルキー」
と懇願する目付きと
手首が崩壊するかのような
恫喝に近い握手で迫ってきた。
「わ、わっかた。手離して」
とその場を離れ、
車に置いてあった一缶を
取りに行き彼女に渡した、恐る恐る。
通夜は厳粛な雰囲気の中にも、
何か朗らかさがあった。
彼の母とは彼と知り合う以前から
仕事上の付き合いがあり、知っていた。
通夜も死者との決別の会ではなく、
皆に愛された人の旅立ちを
見送るような感じだった。
最後の喪主挨拶は、母親の生前の
生きざまを参列者にきちっと伝え、
なお、母の素晴らしさを伝える、
見事な、見事な挨拶だった。
後日、彼が
「ミルキー、ホッコリしました。
用意してたんですか。」
と聞いてきた。
「思い付き。母ちゃんと言えば
ミルキーしょ。買いに行ったわ」
「ミルキーはママの味ショ」
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2016/10/3(月) 午後 9:23