カミさんは、友達の娘の司法試験合格の夜に

秋刀魚を食べた。
量販店で見つけたハワイ産のビールとともに。


お祝いに秋刀魚か。の感があるが、ただ単に、

僕が買ってきたからだろう。
この日は時間差夕食の日で、帰って僕も食べた。
大根おろしが不要な程、絶妙な塩加減だった。

(大根の1/2が売り切れていたので断念しただけ、だけど)

 

「秋刀魚の味」といえば小津安二郎監督の

遺作が浮かぶ。劇中に秋刀魚が出てくること
はなく、娘を嫁にやるだけの物語展開。
日本の家庭の食事の象徴が秋刀魚なのか。

劇中に何も答えはない。
小津監督には同じような題名「お茶漬けの味」

もある。僕はまだ観ていない。
が有名なエピソードを読み知っている。
製作・公開は昭和27年だが、当所の脚本は

戦時中に書かれた。召集令状を受け取った夫が
妻との最後の夜にお茶漬けをしみじみと食べる
場面が、検閲当局から、戦地に出征する夫を
見送るのに、お茶漬けとは何事だ。赤飯炊いて
万歳するのが当たり前だろう。
と映画化を却下されてしまった。

映画では出征は、外国赴任に

変更されているが、出征前にお茶漬けさらさら
は、出征まっぴらゴメン的、市井の人々の気持ち

だったのかなと思う。

小津安二郎は昭和36年、自分の還暦の日に

亡くなりました。丁度60年間の潔い人生かと
思います。僕も60歳の誕生日に死のうと決めて
いた時期がありました。小津監督は次作の
準備をしていたので自ら望んだ死ではなかった
ようです。でも、最愛の母を前年亡くし気力も

衰えていたようです。
ちなみに次回作のタイトルは
「大根と人参」でした。
(当時大根1/2は売ってなかったろうネ。)


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2016/9/8(木) 午後 1:32