左手が不自由だと
茶碗を保持できない
テニスでサービスするときに
指が引っかかりトスが真上へ上がらない
野球の守備時にグローブを立てられない
と結構不便
唯一ありがたかったのは右手じゃなかったこと

整形外科へ行く
発症から10日経っていた
診察結果はCTのときと同じ
左橈骨神経麻痺
先生に
「針灸院で針うってもらうと
 一発で直るんでしょうか?」
と思い切って聞くと
「そんなとこ行かんでもうちで直るよ」
上腕部外側を長時間強く圧迫すると起こるらしい
CAが機内で座って壁面にもたれかかっていて
麻痺した例もあるらしい

その日から低周波電気によるリハビリを始める
眼の検査の時に使う片目を塞ぐしゃもじみたいな
電極版を上腕部二箇所に付け通電する

電気の強さは1から10段階まで
ナースに「強さは自分で調整して」
と言われダイヤルを上げる
2,3,4何も感じない
5,6,7あっピリピリくる
この感覚は、そうだ
銭湯の電気風呂だ

生まれ育った家は風呂が無かったので
毎日銭湯に行ってた
銭湯は近所の社交場みたいなもので
友達と会うと当然遊び出す
電気風呂も最初は苦手だったが
友達と我慢比べするうちに
電気で体が金縛り状態になっても
平気になっていった

これならと思い目盛10まで上げる
ピクンと手首が勢いよく跳ね返る
「大丈夫ですか?痛くないですか?」
「ああ、子供の頃から慣れていますので」

リハビリの電気は5秒毎程の
インターバルでオン、オフが繰り返され
15分間続く
その間自分の意思とは関係なく
ピクン、ピクンと跳ね返る手首
周りの老人方は大体膝の治療で
ピクン、ピクンは僕一人
面白くもあり、情けなくもあり

3週間ほどで95%回復
リハビリ終了


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2011/9/12(月) 午後 0:47