マイレージ・マイライフ(2009)を観る
ジョージ・クルーニー扮する主人公の仕事は
企業からの依頼でリストラ対象者に
解雇を告げ穏便に辞めてもらうこと

 

リストラ宣告を外部委託する企業があることも驚きだが
それを生業(なりわい)とする企業の存在も驚きだ
(需給バランスから言えば当然だが)

 

リストラを告げられた人の反応は
怒り出す人、落ち込む人など千差万別
彼は「これはあなたが再生するいい機会だ」
そしてあらかじめ眼を通していた履歴書から
「今が昔からやりたかった夢を実現するタイミングだ」
と大学での専攻、趣味嗜好へ話題をそらし
首を切る企業が訴えられることを防ぐ

 

彼の生きがいは航空会社のマイルを貯めること
もう少しで夢である史上7人目の1千万マイル(16億キロ)に到達する
アメリカの各都市への出張リストラ宣告は
マイルを貯めるにはうってつけの仕事
そこへコーネル大出身の女性新入社員が
リストラ宣告もインターネット回線テレビ電話を使い
出張を減らして経費を削減すべきという案を
提案し会社もその方向へ傾き始める

 

主人公がたまに帰る家は
小さな部屋一つで家具も最低限あるのみ
当然家族もいないし結婚するつもりも無い
そんなとき自分と同じように旅をするのが仕事の
魅力的な女性に出逢い意気投合する
趣味やライフスタイルもぴったりだ

 

このあたりから映画の様子が変わる
それまでは主人公の生き方に
共感するような態度だった映画自身が
主人公に対してシニカルになっていく

 

低予算でビッグネームは皆リストラされた結果か
ジョージ・クルーニー以外の出演者は
なじみの無い役者ばかり
原題は"Up in the Air"
空の上でとかの意味なので
内容からすると邦題のほうがしっくりくる
昔"Somebody Up There Likes Me"
"空の上の誰かが俺らのこと好きみたいだ"
という素敵なタイトル映画があった
「傷だらけの栄光」(1956)だ
ポール・ニューマン主演で
スティーブ・マックイーンがチョイ役で出ていた

 

例によって朝方観ていて
起きてきたカミさんが
「あっこの人素敵 こんな風になって」
とジョージ・クルーニーを見て言った

 

「成れるもんなら成りたいワイ!
 でも、もし成ったら ここには居ないぞ」
(後半部分は言えませんでした)


 

***

 

2011/5/8(日) 午前 5:15