「或る夜の出来事」(1934)を観る
製作当時、僕は当然生まれいない
その年は独ソ不可侵条約締結、
ヒットラーが総統に就任し
世界がきな臭く始めた時期
でも製作年に日本でも公開されているので
映画は普通に入ってきていたようだ

 

映画は大金持ちの令嬢のクローデット・コルベール
父親から結婚を反対され
軟禁中のマイアミ沖上の船から海に飛び込み
ニューヨークにいるフィアンセに
会いに行こうとする

 

新聞に失踪記事がでてる令嬢を偶然見つけた
フリーランス記者のクラーク・ゲーブルが特ダネのため
長距離バスに同乗する
途中、失踪中の娘に気付いた乗客から
賞金を半分よこせと脅されたり
次々と問題が持ち上がる

 

父親は探偵を雇って行方を捜すが
金持ちの娘は長距離バスには乗らないだろうと
飛行場などを警戒するところから
バスは庶民の乗り物だったようだ

 

バスの前面にナンバープレートが
4、5枚付いていたが
通過する州全てのライセンスが
必要だったのだろうか

 

もう一つ不思議に思ったのは
いくら大金持ちとはいえ
娘が事件に巻き込まれたのではなく
失踪しただけで新聞の1面に
記事が載ったのだろうか

 

娘を迎えに行く民間人である父親の車を
警察バイクがサイレンを鳴らして
先導してのを見ると
大金持ちは特別扱いだったようだ

 

映画史上最初のスクリューボール・コメディ
映画「卒業」(1967)の原型とも言われているストーリーの
脚本はロバート・リスキン
監督は名匠フランク・キャプラ
二人のコンビは12本にも上る
その中には僕のAll Time best 10の中に入る
「スミス都へ行く」(1939)もある
ところがアメリカにおけるクリスマス映画の定番
「素晴らしき哉、人生!」(1946)は
いかにもキャプラ・リスキンスタイルだが
脚本はリスキンではない

 

またアカデミー賞の主要5部門
(作品、監督、脚本、主演男優・女優)独占受賞した最初の映画だ
次の独占受賞は41年後の「カッコーの巣の上で」(1975)だ

 

クラーク・ゲーブルは劇中下着を着ていない
この映画の公開後アメリカでは
Yシャツを素肌に着ることが”クール”になり
売り上げが落ちた下着製造業者は
製作会社コロンビアを訴えた

 

白いTシャツが鮮烈なマーロン・ブランド
「欲望という名の電車」で登場するまで
Tシャツ業界の冬が続いたと聞く


 

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2011/4/20(水) 午前 9:06