NHK-BSで山田洋次監督が選んだ日本の
名作100本を連続放映するにあたり
組まれた座談会を観た

 

デジタルリマスターされた「東京物語」を皮切
りに1年かけて山田洋次セレクションを観る
ことが出来る

 

セッションの中でゲストのピーター・バラカン
が小津安二郎監督の「秋刀魚の味」を
お勧め映画に挙げていた
とにかく新鮮、頑なにキャメラを動かさない
撮り方、坦坦としている演出、役者の
一人ひとりが生き生きとしている等
外国人目線からベタ褒めしていた

 

何か自分のことを褒められたように嬉しく
思った
僕も「秋刀魚の味」は大好きなうちの1本だ
山田洋次は、小津監督の遺作であるにも
かかわらずの質の高さをコメントしていた

 

ビリー・ワイルダー等みな全盛期と比べると、
遺作はチト寂しいものばかりだが「秋刀魚の味」は
ピーク三部作「晩春」「東京物語」「麦秋」
と比べても何等遜色無い

 

番組内で小野アナが秋刀魚が出てくるわけでも
ないのに何故タイトルが「秋刀魚の味」なのか
と質問し、山田洋次もセリフでも出てこない
と同感していたが
司会の山本晋也が私見として「はらわたを
捨てて秋刀魚に見限られる」という
古今亭志ん生の落語から娘の幸せを願いながら
手放したくない父親のジレンマを
苦いはらわたとおいしい身を一緒に食べてこそ
秋刀魚ってことではと言っていた
出演者一同頷いていた

 

戦時下で書いた「お茶漬の味」の脚本が
検閲当局から召集令状を受け取った夫を
送り出す最後の夜にお茶漬けさらさらとは
何事だと却下されたことと関係があるのかと
ずーと思っていたので
僕も永年の懸案が氷解した

 

忘れられないシーン
娘の結婚式後に寄ったバーのマダムが
モーニング姿をみて

 

「今日はどちらのお帰り お葬式ですか」

 

寂しさを紛らわすために立ち寄ったところに
グサッと突き刺さるようなセリフ

 

「うーむ、ま、そんなもんだよ」

 

言葉で肯定しながら自身も
ああそうだ、葬式だと自覚する残酷な瞬間

 

今秋放映予定の「秋刀魚の味」との再会が楽しみだ

 

IMDBで見つけた秋日和の予告編
小津監督の動くカラー映像をはじめてみることが出来た


 

記念すべき100本目が大好きな小津安二郎監督の話で幸せだ

 

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2011/4/14(木) 午前 8:44